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35年2型糖尿病と向き合ってきた

滝口 正彰さん

19歳、学生の時に2型糖尿病と診断された滝口さん。
2型糖尿病と診断されてから、およそ35年、薬による治療だけでなく、ウォーキングやマラソンといった運動を取り入れ、積極的に血糖の管理に取り組んでいらっしゃいます。前向きに治療に向き合う滝口さんに2型糖尿病診断時の気持ちとその後の変化や、糖尿病治療と日常生活についてインタビューを行いました。

2型糖尿病の診断によって変わった生活習慣への意識

19歳の時、食事によって嘔吐をすることがありました。そして、嘔吐をすると空腹になり、さらに食べてしまい嘔吐を繰り返すことが続き、「何かおかしい」という思いから近隣の診療所へかかったのが2型糖尿病診断のきっかけです。診断時、HbA1cは11%を超え、空腹時血糖値も300mg/dLを超えており、大学病院を紹介いただき、緊急入院となりました。
私が2型糖尿病と診断されたのはおよそ35年前で、世間の「糖尿病」に対する認識は低く、私自身もどんな病気なのかわからないという状況でした。診断後の緊急入院で、すでに壊疽で片足を切断された糖尿病のある方々にお会いし、どんな病気かわからない糖尿病が「怖い」病気という認識に変わり、「何かしなくてはいけない!」と強く思うようになりました。
入院生活では食事療法とともに、1日1万歩歩くようにと万歩計を渡されました。当時は学生で、遊びたい盛り、正直きつくないといったらうそになります。ただ、2型糖尿病は合併症などに気を付けるべき病気で、自分で血糖を管理することができれば怖い病気ではないことを知り、また、自分で何かしなくてはならないという思いもあり、病院の中を歩き、それがきっかけとなり退院後、ウォーキングを毎朝1時間半、必ず行っています。これは、35年以上続けてきた私の習慣です。
また、ウォーキングが習慣化したある時、走れるのではないか?と思ったことをきっかけに、短い距離から走ってみました。その結果しっかりと走れたので、そこからマラソンも始めました。マラソンが趣味の一つになり、これまでに10回程度ホノルルマラソンにも参加しています。2型糖尿病の診断をきっかけに新たな趣味ができました。さらに、週末にはゴルフや登山へ行くなど運動を積極的に取り入れています。

ライフステージの変化と2型糖尿病の治療の付き合い方

2型糖尿病と診断されたときは学生で、遊びたい盛りで運動を取り入れたりするのがつらかったのですが、社会に出て、その悩みは変化しました。特に私が社会に出てつらいと思ったのは、仕事上での会食です。会食の場ではなかなか病気のことを伝えられずに食べすぎた結果、HbA1cが上昇し、教育入院をしたこともあります。診断時の35年前に比べて、「糖尿病」という病気が世間に知られるようになりましたが、今でも時々「糖尿病」とお伝えするのをためらってしまうことがあります。ただ、自身が糖尿病であることを受け入れて、しっかりと管理するよう心がけています。
私の糖尿病治療は運動と薬が中心です。最初は飲み薬から始めて、徐々に増え、今は注射薬も使っています。発症当時は学生と若かったのですが、年齢の経過とともに代謝が下がるためか、それまでの薬と運動だけではHbA1cが下がらなくなり、4-5年前からインスリンという注射薬を開始しました。注射薬を開始する際は、正直、抵抗がありました。最初の1週間は注射を打つ手が震えていたと思います。ただ、今はしっかり手技も身につき、上手に打つことができます。たまに、痛いと思うこともありますが、ほとんど痛みなく打てていると思います。また、2型糖尿病治療は日々進歩しています。昔はメモリを見ながらインスリンを注射していたとお伺いしていたので、今私が使っているペンタイプのインスリンは使いやすいし楽だと思います。

主治医の先生としっかりコミュニケーションをとって薬剤を決定

インスリンを開始した際もそうですが、基本的には治療するお薬は主治医の先生の指示に従っています。ただ、今はインターネットなどで検索が簡単にできる時代です。自身で薬について調べることもあります。自身に合う薬であれば「試してみたい!」と思う性格ですので、その際は主治医の先生に相談すると思います。ちょうど先日、先生から新しい薬があり、今の私にあっているとご紹介いただいたので、服用を開始しました。飲み始めて1か月ですので、結果が出るのは2か月後です。
私は定期的に通院しており、主治医の先生とのコミュニケーションも比較的しっかりとれています。先生から私に合うお薬の提案があれば是非試してみようと思っていますし、現在使用しているお薬に対しては大変だと思うことはありません。大変だと思うことが出た場合や何か気になることがあるときは、相談をして、自分に合った薬に変えていただくと思います。

2型糖尿病と診断された方や治療中の方へ

先にお話しした通り、2型糖尿病は怖い病気ではないと今は思っています。ただし、合併症に気を付ける必要はあります。
2型糖尿病であることを悲観せずに、上手に長い付き合いをしていくのが1番重要だと思っています。自分だけで抱え込むと、悩んでしまいますので、主治医の先生やご家族などの協力を得ることで初めて糖尿病という病気に立ち向かっていけると、自身の体験から痛感しています。


※この記事は2023年4月に行った取材を基に作成しています。

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