40代前半に会社の健康診断で糖尿病と診断された大原さん。
2型糖尿病であっても、臆することなく、そうでない人と変わりなく楽しい生活が送れることを知っていただきたいと、2型糖尿病治療にポジティブに取り組んでいらっしゃいます。
大原さんが実践する食事療法や体重管理また、2型糖尿病と上手く付き合いながらの生活についてインタビューを行いました。
ご自身にあった2型糖尿病の管理を心がける
12年間の治療で身についた、自身にあった食事管理
会社の健康診断で血糖についてD判定が数年続いていました。ただ、当時は40代と若く、また、比較的アクティブな生活をしていたことから身体には自信があり、病院へ行くことはせず、数年放置していました。ある時、上司に健康診断の結果をみせたところHbA1cが13%と非常に高く、すぐ病院で診察を受けるようにと指示を受け、病院へ行ったところ2型糖尿病と診断され、即入院となりました。身体のどこかに痛みがあるなど症状がなかったこともあり、診断時は特に心配や不安はありませんでした。しかし、病院で、高血糖の状態を治療せずに放置することで起こる合併症についての説明を聞き、怖くなったことを覚えています。
アクティブな生活をしているので、治療の一環として運動を取り入れることはさほどつらくはありませんでした。しかし、診断と同時に始まった食事療法には苦労しました。入院中は味が薄くて、つらいなと思うことが多々ありましたし、診断当初は炭水化物と摂取カロリーを厳密に計算しなければならず、家族に協力してもらったのを覚えています。当時は、私と同様に、家族も糖尿病に対する知識があまりない状態でしたが、2型糖尿病について勉強してくれて、サポートしてくれました。食事療法は確かにつらいです。つらくないといったらウソになります。ただ、12年間2型糖尿病とともに生きてきたので、会食で食べすぎてしまった場合は、帰りの電車で一駅分歩いてみたり、運動を増やして食べたいものを食べたり、白米の量を減らし、その代わりにキャベツを食べたりなど工夫をしています。キャベツを美味しく食べる方法については、料理研究家レベルの知識を持っていると思うくらいです。神経質になりすぎず、自分が取り入れられる「工夫」を常に探して管理しています。もし、糖尿病の管理で悩んでいる方がいたら、ご自身が楽しんでできる「工夫」を探して管理していただければと思います。
血糖とともに重要な体重の管理
2型糖尿病では食事や生活習慣、血糖の管理に加えて、体重を管理することも重要であると感じています。それまでは1年に1回の健康診断で測るだけだったのですが、2型糖尿病と診断されてからはマメに体重計で自身の体重を確認しています。特に、年齢を重ねてくると前日の食事が少し多いだけで、数百グラムですが影響します。ですので、その数百グラムに注意しています。体重管理についてはサプリメントを試したり、運動をしたり、食事の際は野菜から食べてみたり、現状も試行錯誤ですが、ここ数年は比較的上手く管理できていて、徐々に体重を減らし、4年間で8kgほど減量しました。ちょうど4年前に糖尿病の飲み薬を増やしたので、食生活などに再度注意していた時期でした。このような影響もあってか、体重が減っていきました。今後も糖尿病の合併症を起こすことがないよう、血糖や体重の管理を心がけたいと思っています。
糖尿病の管理をしながら楽しく生きる
糖尿病と付き合っていくうえで食事管理や運動などとともに、お薬をしっかり飲むことも重要です。現在、複数の飲み薬を服用していますが、少しでも減ればいいなと思うことはあります。しかし、血糖が落ち着いてきて、自身の判断で薬を減らすと血糖が上がってしまった経験をしているので、薬の効果をあらためて認識し、今は処方されたお薬をしっかりと飲んでいます。主治医の先生は質問をしっかり聞いてくださいます。お薬の悩みやそれ以外の悩みなど気軽に相談できるので、何かあればまず、先生に相談し、アドバイスいただき糖尿病治療と向き合っています。糖尿病と診断された方は、周りの人へ話すことに抵抗を示す方もいらっしゃるかと思いますが、私は2型糖尿病であるということを隠していません。以前の私もそういった思いがありましたが、小学生の1型糖尿病のある方にお会いし、その方が、チームメイトの前でお腹に注射を打って、その後、楽しそうに野球をする姿を拝見し衝撃と勇気をもらいました。周りの方からは「そんなに食べたり飲んだりしていいの?」と心配されることもありますが、毎日食べているわけではありませんし、運動を行ったり、前後の食事をセーブするといった管理すれば問題ない病気であると伝えています。今の私の目標は「2型糖尿病は大変って思っていたけど、あなた(大原さん)を見ていると大変そうに見えないね」と思っていただけるようにすることです。
2型糖尿病は自分で管理できる病気です。管理さえしっかりできれば我慢ばかりでなく、楽しく生活できることをたくさんの人に知っていただきたいと思っています。2型糖尿病の治療で悩まれている方は少なからずいらっしゃると思いますが、管理すれば大丈夫とポジティブにとらえ、主治医の先生や周りの協力を得ながら、一緒に糖尿病治療に取り組んでいきましょう。
※この記事は2023年4月に行った取材を基に作成しています。
糖尿病とともに生きるヒント
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