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インスピレーショナルストーリー

サム ブランド選手

全てのことが好機となる – サム ブランド選手によるロックダウン日記 –
 

マン島、英国 - まずは状況を説明します。1月、マン島と比べると、晴れて温い気候であるスペインのアルテアで行われるチーム ノボ ノルディスクのトレーニングキャンプは、身近でホームのような環境です。

1月は、サイクリングにはとても大変な時期です。「血と汗と涙」とも言われる厳しい冬が終わりを告げ、新シーズン到来の喧噪に包まれる時期です。
車輪の回る音、ギアが変わる音、プロ選手のプロトンの主要選手がペースを上げる音が聞こえてきます。2020年のシーズンの幕開けです。

私はシーズンが少し早く始まったような気がしていました。レースのために新しい国や大陸へ渡るときには、サイクリングのみならず、子供の頃スポーツに夢中になっていた時と同じ気分の高揚を感じます。私はいつもレースに挑むことに大興奮していました。

それから数週間後に話を進めると、コロンビアツアーが終了し、チームは地球半分の距離を移動し、アフリカの中央にあるルワンダへ到着しました。
そこでは精神的に適応させるだけではなく、体力的にも環境に適応させる必要がありました。7時間のタイムゾーンの変化と、24時間以上にわたる飛行時間がありましたが、やる気は十分でしたし、家族も一緒に移動しました。

ルワンダでの時間が過ぎていき、レースとは別に、新型コロナウイルス感染症に関する情報がヨーロッパ本土で前例のないペースで聞かれるようになり、イタリアから毎日来る最新情報は私たちのチームにも数人いるイタリア人のプロトン部隊へも知らされました。これから起こり得ること、それから私たちが終える予定の重要なレースについて話し合いました。
ある晩のことを思い出します。まだ4つのレースが残っている状況でしたが、レースの中止や渡航制限についての噂が流れ始めました。

私はいつもと変わらず、レースと目の前にある課題、そしてチーム ノボ ノルディスクの結果に110%集中していました。

 

ロックダウン

プロのアスリートとして、その時の状況にどう適応するかという能力が鍵となります。全てのことをコントロールできることはめったにありませんので、自分がコントロールできる範囲のことを制御することが最も重要です。そのほかは運次第です。

単純明快なプロスポーツはほとんどありません。私はアスリートとして熱意があり、競技に没頭し、努力をしています。それは単にスポーツをすることや、糖尿病を克服していくための使命を背負っているということだけでなく、もっとシンプルに自分の日々の哲学とトレーニングの目標のためでもあります。私は自分が取り組んでいることや、それに取り組む理由が、心の底から大好きなのです。

これ以外にも、私たちは世界における糖尿病に対する認識を変えることを目指しながら、チームとして、たくさんの人々の生き方を変えています。現在レースをすることは、たくさんある目標リストの中の最後のほうにあります。なぜなら、いま私が世界を変えるために始めるべきことは、自宅でのトレーニングだと考えるからです。

 

ロックダウンの状況下、私は毎日がアスリートとして何かを学び、成長し、向上する好機だととらえています。単純でささいなことに聞こえるかもしれませんが、一度に一つのことに集中することができます。この状況では、野心を持つこともできますが、打ち砕いてしまうこともできます。私の目標は、この状況を前向きにとらえ、向上し続けることです。

この10年の間で、いまが一番長く継続的に自宅で過ごしています。これは間違いなく利点です。移動やレースのために、シーズン中は制限されていたトレーニングをすることができます。そのほかにも、いつもより早くトレーニング方法のフィードバックをもらうことができます。

確かにチームメイトと肩を並べ、ミラノ~サンレモのようにアドレナリンが出るレースで勝つという経験はできませんが、世界的な感染症の拡大のなか、自宅で過ごすのは良い妥協案だと思います。私の自宅があるマン島は、自宅待機には完璧な場所です。

 

 

現在、モチベーションという言葉がたくさん飛び交っています。インスタグラム、ツイッター、母のクロスワードパズル本の裏表紙、日々のラジオやテレビなどからも聞かれます。私はこの言葉があまり好きではありません。全体像が見えないからです。モチベーションが上がらない日があってもいいと思います、何もしない日があってもいいです。いつもより長くベッドに潜っていたりしてもいいです。私にとってはコミットメントが大事です。モチベーションは移ろいやすい感情であり、それには欲望や嫌悪といった感情も交じります。しかし、コミットメントは揺るぎないものです。私にとってのコミットメントはトレーニングですが、それ以上に糖尿病を持つ皆さんへ向けたものです。これは私にとって大きな絆であり、大きなコミットメントであり、大きなモチベーションです。

もし私がレースのみに集中していれば、モチベーションは短期的なものになっていたと思います。しかし、プロアスリートとして、私はチームの目的のため、トレーニングをすることに責任を持っています。どんな天気であろうと、どんな日、どんな時であろうと、私は自分の仕事をすることが好きです。いつでも変わりません。

行き先不透明な状況ですが、私は本を読んだり、楽器を学んだり、散歩したり、思い出を作るいい機会だと思っています。本当にやりたいことができる時間なんて滅多にありません。以前は時間がないと感じてできていなかったことを書き留めることは、私にとって大きなプラスでした。このロックダウンの状況を制限されたと思うのではなく、新しいスタート地点だと考えてみましょう。

自宅にいる間、遠征中一番恋しかった犬のアルフィの散歩をしたり、両親と過ごしたり、書き物をしたり、家のリノベーションをすることができました。この12カ月間、私は「地理の囚人」という本をスーツケースの中に持ち歩いていましたが、この機会にやっと読み始めることができました。とても素敵な本で待ったかいがありました。

この世界的な感染症の拡大は、まるでハリウッド映画のようかもしれませんが、この機会を生かして、自分のために何かをしてみましょう。前向きに、希望を持ち、あなたの周りの人たちに手を差し伸べましょう。私たちは強い、結束したチームです。



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