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コンシェルジュ

2型糖尿病は遺伝しますか?

No.13

糖尿病の成因分類では、「1型」、「2型」、「その他の特定の機序・疾患によるもの」、「妊娠糖尿病」の4つがあります。わが国を含めた全世界で大多数を占めるのが「2型糖尿病」であり、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を来たす複数の遺伝因子に、過食、運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わって、インスリン作用不足を生じ、糖尿病を発症すると考えられています。

遺伝因子

近年、遺伝子解析の進歩がめざましく、2型糖尿病の発症に関連する遺伝子情報が多数報告されています。2型糖尿病がある方では、両親を含む血縁者に同じく2型糖尿病のある方がいることがしばしば確認されます。血縁者に2型糖尿病がない場合でも、血縁者の方が実は糖尿病が存在していても診断されていないか、環境因子の影響が強く糖尿病を発症することもあるため注意が必要です。

環境因子

2型糖尿病の発症予防には、食事量の適正化が必要であり過食は禁物です。穀物の食物繊維や不飽和脂肪酸、植物性のタンパク質の摂取は、糖尿病の発症リスクを低下させることが知られています。日常生活における身体活動量が低いことが、2型糖尿病の発症リスクとなることも知られています。過食や運動不足の結果としての肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病の発症リスクを高めます。日本人は欧米人に比べて、肥満の程度が少なくても糖尿病を発症するリスクが高いことが知られており、注意が必要です。その他、喫煙や短時間睡眠も2型糖尿病のリスクを増加させることが報告されています。

2型糖尿病を予防するために

遺伝素因は人により程度が異なり、そこに環境因子が種々の程度で加わり、2型糖尿病を発症します。家系に糖尿病のある方が多い人は、家族みんなで環境因子である生活習慣、つまり食生活や運動習慣などを見直すことが、糖尿病の発症予防に有用です。また、もし糖尿病を発症しても早期に発見できるように、定期的に健康診断を受けることも重要です。

参考資料
日本糖尿病学会編・著 糖尿病診療ガイドライン2019 南江堂, 2019

神山 智子
東京女子医科大学 糖尿病・代謝内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

JP23DI00081