Go to the page content
3 min. read

【インタビュー】糖尿病専門メディアとして、患者さんと医療従事者とともに 三角 英海 氏 (後編)

インスリン発見100周年を記念して、四半世紀にわたり糖尿病のある方と医療スタッフのための情報サイトを運営する株式会社 創新社の代表取締役 三角 英海 氏にインタビューを実施しました。多くの患者さん、医療スタッフに長年、支持される専門メディアを運営する立場から見た糖尿病に関する情報の在り方や移り変わりについて、前後編に分けてお届けします。後編は、糖尿病治療の進化や発展にともなう患者さんとその周りの方の意識における変化、メディア側として担う今後の展望についてのお話です。

株式会社 創新社 代表取締役 三角 英海 氏

早稲田大学大学院ナノ理工学専攻を卒業後、株式会社 NTTデータに入社。グローバル物流システムや医薬品流通ネットワークの企画・開発・運用に携わる。2011年より株式会社 創新社に参画し、医療・健康領域におけるWebメディアの企画・運営、医療系学会の運営サポートに従事。2014年に代表取締役に就任。

――メディアという立場から見て、糖尿病のある方のインターネットとのかかわり方、意識は変化していると思いますか?

前編でもお話しましたが、糖尿病という病気に関して、非常に多くの、そして多様な情報がインターネット上で公開されるようになり、また糖尿病のある方のSNSを通じた交流,、PHR (パーソナルヘルスレコード) アプリの登場など大きな変化を感じています。

また、これらの変化により多様な患者さんのニーズに応えられる環境が整えられつつあると感じています。例えば、インスリン製剤を使って治療している2型糖尿病のある方と、飲み薬だけで治療している2型糖尿病のある方で、情報に対してニーズに違いがあることはご理解いただけかと存じます。前者の方々はSNSを通じて、より生活の中での細やかな悩みについても共有できるようになり、後者の方々においては、YouTubeなどを通じて動画で糖尿病について学べたり、アプリなどで食事記録や栄養計算も簡便になりました。

――患者さんがインターネットの恩恵を受けているということでしょうか?

多くの患者さんがインターネットやアプリを活用するようになってきており、患者さんにとって便利になってきていることは確かです。しかし、さまざまな要因により全員が使いこなせる状況にはなく、また、全てにおいてインターネットやアプリを使えば良いという話でもありません。治療や治療支援において、どこまで患者さんが理解しておくべきか、どこから医療従事者の方々が担うべきか、技術の進化含め、その時代にあわせ、最適な形を模索していく必要があると考えています。

――糖尿病予備群の方々における意識の変化は、いかがでしょうか?

悩ましいのが糖尿病と診断されていない方々における意識です。なぜなら、糖尿病はサイレントキラーとも呼ばれ、自覚する不調がないために、本人は健康だと感じており、そもそも意識するということ自体が難しいのです。

しかし、2008年の特定保健指導が一つの始まりで、その環境は変わってきております。メタボリックシンドロームという言葉も、今では一般に広く知られるようになりました。この、「メタボ」の延長線上にある糖尿病をはじめとした慢性疾患の予防という流れで、さまざまな活動が広がってきていることを感じます。

近年では、健康経営の広がりにより、糖尿病の発症予防や受診勧奨、重症化予防に取り組む企業も増えてきております。また、地域保健も予防に対して積極的な活動が増えてきたように思います。このような公衆衛生の取り組みにより、広く糖尿病における知識をフォローアップしていけると、多くの方々の意識向上につながるのではないでしょうか。

――医療従事者のインターネット情報の活用はいかがでしょうか?

患者さんがインターネットを通じ、さまざまな情報を見聞きし、またシェアする現代では、医療従事者の方々に求められる知識レベルは高まってきていると感じています。

確かな知識を持った医療従事者の方が、患者さんに合わせて適切な医療や情報を提供することが重要でありますが、医師向けには多くのサイトがあるものの、看護師や薬剤師、管理栄養士などの専門職に向けての情報サイトは、まだ充実しているとは言えません。その点で、糖尿病リソースガイドを通じて、膨大な情報の中から医療従事者が患者さんのケアに必要な情報を効率的に取得できるようなプラットフォームとしてサポートできればと考えております。

慎重にならざるを得ない医療業界ではデジタル化のスピードは決して速くありませんが、コロナ禍で学会のオンライン開催やオンライン診療、また糖尿病治療におけるIoT (モノのインターネット) デバイスの登場などデジタルに触れる機会は増えてきております。一方で、そうしたデジタルの進化と患者さんにリアルに接する臨床現場とはまだまだ溝があり、そういった溝を埋めるような取り組みで少しでも貢献できればと考えております。

――「糖尿病ネットワーク」の今後における、展望と抱負について教えてください。

糖尿病ネットワークは、サイトを通じ、人と情報をつなげることで多くの方々にご利用いただいてきました。入れ替わりの激しいインターネットの業界において、25年もの間、今なお多くの方にご利用いただけているのは、患者さんや医療従事者の方々の協力のもと、常に信頼できる情報提供を心がけてきたからだと思います。

これから益々、治療方法に加え、インスリン製剤や血糖を管理するデバイスも進化していくことと思います。そういった中で、患者さんや医療従事者の方々がサイトを訪れたときに、学びと気付きを得られるような情報発信に務めていければと考えております。

――最後に、患者さんと医療従事者向けにメッセージをお願いします。

これからも、患者さんやそれを支える医療従事者の方々が、忙しい日々の生活や業務の中、効率よく治療や支援に役に立つ情報にたどり着くためのネットワークであり、役立つガイドとして使っていただけるよう、さまざまなチャレンジをしていきたいと考えています。

引き続き、糖尿病ネットワーク、糖尿病リソースガイドをどうぞよろしくお願い致します。


糖尿病ネットワーク

1996年に開設された主に糖尿病のある方や医療スタッフ向け糖尿病専門情報サイト。

糖尿病をはじめて学ぶ方向けの初歩的な情報から、すでにある程度知識のある方向けのより細かな情報まで幅広く役立つ情報が紹介されています。

糖尿病に関する最新のニュース、動画で楽しく学ぶことの出来る3分ラーニング、日常生活へすぐに取り入れられる運動や食事療法に関する情報、患者さんによる漫画連載など長年のサイト運営により非常に豊富なコンテンツが揃っています。

Twitter:https://twitter.com/dmnet_jp

Facebook:https://www.facebook.com/DiabetesNetwork.JP/

 

糖尿病リソースガイド

2009年に開設された医療従事者向けの糖尿病專門情報サイト。

糖尿病医療の現場で求められる医薬品や医療機器をはじめ、食事や運動など糖尿病医療に役立つ製品、サービス、関連情報が紹介されています。

5月にはリニューアルされ、糖尿病に関わる医療従事者の方へより充実した情報コンテンツを提供するため、医歯薬出版株式会社の協力のもと、糖尿病の臨床総合誌『糖尿病プラクティス』の主な記事がオンラインで読める有料会員サービスも開始しました。

Twitter:https://twitter.com/DMRG_jp


インタビュー

こんなページを見ています

 

JP24CD00050