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糖尿病とともに生きる-連載ブログ第17回:糖尿病と母への哀悼

ジャスティン・モリス

今回、ジャスティンさんは、最愛の母をがんで亡くした経験をブログに書いてくれました。
この悲しい出来事はジャスティンさんに大きな衝撃を与え、血糖値の管理をも困難にしました。
多くのことをジャスティンさんに教えてくれた尊敬する母。ジャスティンさんが彼女の喪失を乗り越えるきっかけもまた、母の教えでした。
この避けられない、深い悲しみにどのように向き合うのか、是非ブログをお読みください。

 

今回のブログは、とてもつらい気持ちで書いています。
先日、私は母を亡くしました。母は3年半にわたってがんと闘い、激しい痛みや失望感、がんへの憤りと向き合ってきました。
亡くなる直前の数週間、絶え間ない痛みに襲われ、体の機能が衰え、意識が混濁している母の姿を見ることはとても辛いことでした。
しかし、それでも母は、生き続けようという強い意志を持ち、主治医の予想を遙かに超えて生き延びることができました。
目前に迫る死と闘った母の勇気と強い意志は、私たちの人生における指針になるものでした。母は息を引き取るその瞬間まで、
私にたくさんのことを教えてくれました。

- 何事にも懸命に取り組むこと
- 寛容であること
- 目標を「高く」持つこと
- 家族を大事にすること
- そして常に「ベスト」を尽くすこと

母はその価値観を自らが模範となって示し、人生を生き抜いたのです。

 

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母のいない人生は、とても寂しいものになるでしょう。

この深い悲しみは人生の一部であり、避けられないものです。私たちは皆、いずれは悲しみと向き合わなければなりません。
時にそれは、不公平に感じられるものであり、不条理なものでもあります。
いつもいてくれた母が、実家で私を出迎え、抱きしめてくれることがもうないのだということがまだ信じられず、悪い夢なのではないかと感じています。

湧いてくる感情への向き合い方や表現の仕方は人それぞれであり、その影響はさまざまに及ぶでしょう。
糖尿病の管理もそのひとつです。
母の死をめぐる不安定な生活は、私の血糖値の管理を困難にしました。
母を亡くしたことにより、私はネガティブな感情に襲われ、精神的にも肉体的にもエネルギーが枯渇してしまったかのようでした。

だからいま、私は糖尿病を含め「全てを上手く管理しなくてもよい」ことを自分に許すことが大切なのだと思っています。
前回のブログに書いたように、努力してベストを尽くすことは人生の重要な要素です。
しかし同時に、人生には歩みを緩め、「これでよし」としてかまわない時があるのだとも思います。
親しい人を亡くした悲しみに向き合うことも、そのひとつなのでしょう。

 

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それでも私は、もうそろそろ自らを奮い立たせ、母へ報いる最もよい方法とは何かを考えはじめなければなりません!
人は悲しみや寂しさに流されたまま人生を送ってしまうこともできます。そのような感情から完全に立ち直ることは簡単なことではないでしょう。

しかしながら、今の私にとって最も大切な人は、私自身ではなく母なのです。
私は母との思い出を大切にし、これからも母を誇りにして生きていくつもりです。
母が亡くなった今も、私は少年時代の母の言葉を思い出します。
私が家事をまかされたとき、母は私に「仕事を引き受けたのなら、きちんとやりなさい!」といったのです。
母は人生には果たすべき務めがあるのだということ、そして社会に貢献しなければならないのだということを常に唱えていました。

そのことを振り返ると、母を失った悲しみは、人生において多くの気づきを与えてくれる一つのきっかけなのだと捉えることができます。
このことは、私たちが人生において失うであろう数多くの物事に当てはまることだと思います。
すい臓から分泌されるインスリンもそのひとつです。

糖尿病の診断を受けたとき、ネガティブな感情などが混じり合った複雑な気分に襲われたことを覚えています。
今とまったく状況は違いますが、血糖値に不安もストレスも感じることのない日常に別れを告げることは、母を失った悲しみに共通するものがありました。そして、そのようなときに生まれる動揺や怒り、不満といった感情を否定せずに自らに許すことが大切なのだと思います。このような感情を受け入れることが、人生の次の段階へと進むための第一歩となるのです。

私は母に報いるためにも、母が望んだように人生を精一杯生き続けたいと思います。
私が糖尿病の診断を受けてからも、母は人生の目標を追い求める私をいつも励ましてくれました。

大人になった今、人生の模範となり、人生を導く光となってくれた母という存在があったことに心から感謝しています。
糖尿病コミュニティを通じ、母が広めてほしいと願ったメッセージがあります。
それは、糖尿病という診断は私たちに何も与えることなくすい臓を奪ったわけではない、ということです。私たちは糖尿病とともに生きるという経験を、人生における気づきに変えることができるのです。
母は私がその気づきを得られるように後押しくれました。
そして今、私は母を失うという悲しい出来事から気づきを得て、母に報いるためにベストを尽くそうという気持ちを奮い立たせることができたのです。

 

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母はがん病棟に入院していた間にも、糖尿病に向き合うことの難しさに対する私の見方を広げてくれました。

そしてがんとともに生きる過酷さを目の当たりにするという辛い経験もまた、ベストを尽くして生き続けることへのモチベーションを私に与えてくれました。

なぜならがん病棟で目にしてきたことに比べれば、1型糖尿病を管理することは、とても簡単なことに過ぎないのですから。

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人生は辛いものです。誰もこの事実を消し去ることはできません

心の傷や悲しみ、喪失感、困難、寂しさに向き合うということは、誰にとっても辛いことです。
しかし、それでもいずれは誰もがそれに立ち向かわなければならないのです。
そのためには、ネガティブな感情を受け入れることが大切なのだ、と今の私にはわかります。

そうすれば、私たちは人生における最高の瞬間をあますところなく経験することができます。
母との思い出を大切にし、母に報いることこそが、私にとってこの人生をより良いものにしようするモチベーションの一つとなりました。
大切な何か、誰かを失った人は誰でも皆、自らの人生のなかで可能な限り、その大切な人や思い出に報いたいと願うものではないでしょうか。

 

 

 

 

 

ジャスティン モリス

英語版はこちら

 

ジャスティン・モリス氏 略歴:

10歳で1型糖尿病と診断されたジャスティンさんは、人生の夢と目標を見失いかけていましたが、糖尿病対策を目的に自転車競技を始め、プロのサイクリストの道へ進むきっかけにもなりました。ロードレースのプロサイクリストとして5年間を過ごし、競技と糖尿病のコントロールを両立させながら世界の5大陸を転戦しました。その間の競技生活から多くのことを学び、競技の中でも外でも困難に対処していく経験と知恵が身に付いたと語っています。

その後、プロ選手を引退してオーストラリアのマッコーリー大学を2015年に卒業し、心理学と教育学の学位を取得しました。大学在学中には、学業だけでなくスポーツ競技でも優れた成績を収めた学生に贈られる「ブルース・アワード」を授与されました。現在もチームSubaru-marathonMTB.comに所属してマウンテンバイクのマルチデー自転車レースに出場しており、変わらぬ健脚ぶりを発揮しています。クロコダイル・トロフィー、シンプソン・デザート・バイク・チャレンジ、パイオニア・イン・ニュージーランド、モンゴル・バイク・チャレンジの各レースで表彰台入賞を果たしています。

2011年からは、自転車競技経験をもとにした情報発信を開始しました。希望と力を与え、逆境を克服するメッセージを世界中の人々に発信し続けています。

連絡先:
Twitter: @JustinMorrisTT1
Instagram: @justinmorrismdog
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/justin-morris-3a71b4a7/www.mindmatterscoach.com


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