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レッツ チャレンジ!インスリンクイズ【第10問】

楽しみながら答えるだけで、あなたもインスリン博士になれる!? 

クイズは全部で10問あります。ヒントはこのインスリン発見100周年ウェブサイトのコンテンツに隠れているかもしれません。ぜひ挑戦してみてください!

最後のクイズとなる第10問目の問題は、大量生産における課題のひとつだった動物からインスリンを抽出するのに必要な内分泌腺組織の量についてです。あなたは何問正解しましたか?

【第10問】 1920年代には、インスリン226gを製造するために、動物の内分泌腺組織がどれくらい必要でしたか?


a. 5kg

b. 150kg

c. 700kg

d. 2トン

 

正解は…。

正解をみる

d. 2トン

 

私たちが1日に必要なインスリンの単位は30~40単位ほどで、約5mgの量に相当します。これを年間にすると1人あたりおよそ2gのインスリンが必要です。

1920年代におけるインスリン製剤は、ウシやブタなど哺乳動物の膵臓を抽出することにより作られていました。その時代には、およそ100人の糖尿病のある方が1年間に使うインスリンの確保にはおよそ2トンもの動物の内分泌腺組織が必要だったのです。

ブタのほか、ウシの膵臓1kgからは約0.6mg、アンコウの膵臓1gからは約0.5mgと、どの動物もごくわずかしか抽出できません。日本では畜産が少ないことや戦争があったために、魚やクジラから抽出していた時代もありました。

また、これら動物由来のインスリン製剤は純度が低いためにアレルギー反応を引き起こしやすく、10~55%の患者さんで注射部位の脂肪が縮むというような症状が見られていました1。その後、改良を重ねた高純度のインスリン製剤でもアレルギー反応をゼロにすることは出来ませんでした。

そこからさまざまな研究と努力が積み重ねられ、今日のアレルギー反応などの副作用の心配がほとんどないインスリン製剤が完成し、長く課題となっていた大量生産の壁も突破することが出来たのです。

現代のインスリン製剤から考えると、これらの課題はイメージしにくいものでしょう。しかし、インスリンが発見されてから現在まで、多くの動物の恩恵と数々の技術革新が重ねられてきたのです。


1.Schernthaner G. Immunogenicity and allergenic potential of animal and human insulins. Diabetes care. 1993;16(Supplement 3):155–165.

【解説参考】

・二宮陸雄『インスリン物語』、医歯薬出版株式会社、2015年復刻版、p245

・マイケル・ブリス、堀田饒訳『インスリンの発見』、朝日新聞出版社、1993年、p307 

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