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Blueprint for Change Programme 2021:治療薬のイノベーション

インスリン発見100周年を記念してノボ ノルディスクが発行した「Blueprint for Change Programme 2021」より、今回は「治療薬のイノベーション」についてご紹介します。

糖尿病患者さんの命を救うインスリンの発見

インスリンが発見された1921年以前、糖尿病の唯一の治療法は飢餓療法でした1。カロリー摂取量を厳しく制限し、患者さんを飢餓寸前にまで追い込む治療法のため、多くの1型糖尿病患者さんは糖尿病ではなく栄養失調で亡くなりました1

インスリンの発見により、糖尿病と診断された人の平均余命は劇的に改善しました2。1945年までに、10歳で1型糖尿病と診断された子供は、インスリン発見前に診断された10歳の子供よりも30年以上長く生きることが期待できるようになりました。

1923年、カナダから学んだインスリンの抽出と精製方法の知見を利用し、北欧においてインスリン製造がスタートしました。これがノボ ノルディスクの誕生となります。

インスリンの発見は、多くの糖尿病患者さんの予後を変えましたが、インスリン製剤によって糖尿病が治癒するわけではありません。いうなれば、インスリン製剤は、糖尿病を「短期間のうちに死をもたらす病」から、「慢性的に闘う病」へと変えたのです。

インスリン製剤のイノベーションによる血糖降下作用持続時間の延長

一方、いくつかの課題もありました。当時は純度の低いインスリン製剤が多く、糖尿病患者さんはアレルギー反応、抗体形成、極端な低血糖や高血糖に苦しめられていました。

また、作用の持続時間が比較的短いという問題もありました。患者さんは糖尿病を管理するために、毎日複数回の注射を必要とし、場合によっては夜間でも注射をしなければなりませんでした1

そのため、インスリン製剤の投与頻度を最小限とし、治療の負担を軽減することが求められていました。血糖降下作用の持続時間を延長できるようなインスリン製剤のイノベーションが急務でした。

1946年、ノボ ノルディスクの創設者の一人であるハンス クリスチャン ハーゲドンによるNPHインスリン製剤の開発により、インスリン製剤の作用持続時間の延長と糖尿病患者さんの注射回数の低減が可能になりました。この出来事は、患者さんの生活を変える、一つの大きなイノベーションとなりました。

※健康なひとのインスリン分泌は、食事で血糖値が上がったことに反応して一時的に分泌される「追加分泌」と、一日中一定の割合で少しずつ分泌される「基礎分泌」の2つがあります。NPHインスリン製剤は、基礎分泌を補うためのものです。

インスリンの漸進的な改善による副作用の低減

糖尿病患者さんの余命が長くなるにつれ、インスリン療法の副作用など、糖尿病とともに生きる上での制約が注目されるようになりました。

インスリン治療は大きく進化を遂げてきましたが、動物由来のインスリン製剤はアレルギー反応の可能性などのリスクを伴うものでした。

1973年に、高純度精製ブタインスリン製剤であるモノコンポーネントインスリンが発見されます。これによりアレルギー反応が大幅に減少し、抗体形成が著しく低減することになります。

また、1980年には遺伝子組換え技術が登場し、ヒトの体内で産生されるものと同一のインスリンが利用できるようになり3、1982年にはこの技術を用いて作られた「ヒトインスリン製剤」の供給が可能になりました。ヒトインスリン製剤は高純度で量産化が可能となったため、インスリン治療におけるイノベーションの道を切り拓きましたが、インスリン治療を受ける患者さんには、体重増加や低血糖リスクという課題が残されていました。

1990年代後半に、第1世代のインスリンアナログ製剤が登場しました3。インスリンアナログ製剤は、作用プロファイルが予測可能であるため、インスリン製剤の投与量を計画する際にヒトインスリン製剤よりも柔軟に計画できるようになりました4

多くの薬剤の開発と治療と管理の複雑化

2010年代に入り、作用発現プロファイルが強化された最新のインスリンアナログ製剤が導入されました。その結果、低血糖リスクや糖尿病ケアの日常の負担やルーティンが軽減されるようになります。2009年には長時間作業型GLP-1受容体作動薬、2019年には経口GLP-1受容体作動薬が誕生しました。

このように、過去100年間において、糖尿病患者さんの血糖コントロールを目的とした多くの薬剤が開発されてきました5。それにより、今日、糖尿病患者さん一人ひとりのニーズを満たすために、これらの薬剤を組み合わせて個別の治療計画を立てることが可能となっています。

一方、薬剤の組み合わせの可能性は膨大であるため、糖尿病の治療と管理がますます複雑になっているという側面もあります5。また、複雑な治療計画を順守することも、糖尿病患者さんにとって課題となる可能性があります。今後も患者さんと医療従事者両者のために、治療と糖尿病管理に伴う負担の軽減に取り組む必要があります。こうした課題を解決することが、さらなるイノベーションの追求につながっています。

「Blueprint for Change Programme 2021」全文はこちらからご覧ください。


<本文出典元>

1. Tattersall RB. The History of Diabetes Mellitus. In: Textbook of Diabetes. 2010:1–23.

2. Joslin EP. The Unknown Diabetic. Postgraduate Medicine. 1948;4(4):302–306.

3. Gough S, Narendran P. Insulin and Insulin Treatment. In: Textbook of Diabetes. 2016:399–413.

4.Evans M, Schumm-Draeger PM, Vora J, King AB. A review of modern insulin analogue pharmacokinetic and pharmacodynamic profiles in type 2 diabetes: improvements and limitations. Diabetes, obesity & metabolism. 2011;13(8):677–684.

5. White JR. A brief history of the development of diabetes medications. Diabetes Spectrum. 2014;27(2):82–86.

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