糖尿病治療の変革を支えた真理と人を愛する人　アウグスト クロウの心の軌跡　第3章

何百万もの人々の命を救う偉大な功績を残し、ノーベル賞に輝いたデンマークの生理学者アウグスト クロウ。研究にかける彼の情熱と信念をめぐるエピソードを、全4回にわたってお届けします。第3章は「最高でさえ十分でないとき」です。

世界を直感的に理解するだけでなく、数値化して計測する特別な能力を持っていたアウグスト クロウ。「酸素がどのようにして組織に運ばれ、代謝に使われるか」というテーマにおいて革新的なアイデアをひらめくと、創造性を駆使した実験によって、その仮説の正しさを証明することに成功します。

ある時、クロウはコペンハーゲン大学で行われていたお祭りの場で、前触れもなく訪れたジャーナリストから驚くべき発表を耳にします。「アウグスト クロウに、ノーベル賞が授与される」と。クロウはその知らせを聞くと、驚き喜ぶでもなく、その場を静かに立ち去りました。その後、クロウが行ったこととは？