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糖尿病とともに生きる-連載ブログ第6回:糖尿病はチームスポーツ!

いつも読んでいただき「アリガトウゴザイマス」。今年の8月、私は日本にいました。糖尿病に関わる活動で日本を訪れるのは、これで5回目です。日本に来るたびに日本人の寛容さと礼儀正しさに感銘を受けます。一般的に、礼儀正しいタイプの人は、モチベーションや強い野心を持っていないと思われがちですが、日本人には穏やかで落ち着いた楽観性とともに自信がそなわっています。この偉大な国の成功を見れば、日本人の人生観の素晴らしさがすぐわかります。言うまでもなく、このような性格は1型糖尿病との生活にもとても大切です。

今月のブログでは、糖尿病のある方々にとって、とても重要だけれども、あまり触れられることのないテーマを取り上げたいと思います。

私はどの国でも、糖尿病とともに生きる人たちと会うときには、その人たちが抱えている最大の問題は何かを正しく理解したいと考えています。糖尿病とともに生きる人たちに会うために世界中を旅して8年が経ちました。この8年間の旅を通じて、世界共通の、技術が進歩しても決して払拭できない問題があることがわかりました。むしろその問題は、糖尿病について管理する技術が進化し、多様化するほど大きくなります。

私は糖尿病のある子どもたちを対象とした「小児糖尿病サマーキャンプ」(主催: 公益社団法人日本糖尿病協会、以下、キャンプ) という素晴らしい企画に参加しました。キャンプでは、1時間のワークショップの中で、私自身の体験談を子どもたちに伝えるという機会をいただきました。

ワークショップでは子どもたちと一緒に、人生の目標や、その目標の達成に際し糖尿病がもたらしうる障壁は何か、そしてその障壁をどう克服するかについて、子どもたちとじっくりと話すことができました。私はこのキャンプにおいて、おいしいケーキを作るパン職人からプロ野球選手まで、様々な夢を持つ子どもたちと出会うことができました。

私たちはこのワークショップを通じて、糖尿病とともに生きるために欠かせない「インスリン」と「インスピレーション」を忘れない限り、1型糖尿病との生活において直面するすべての障壁は乗り越えることができるということを確信しました。

私は今回のキャンプで、子どもたちの幸せそうな顔を見ることができて、とても嬉しかったです。まだ幼い彼らは、年上の人たちよりも糖尿病に立ち向かうことが困難だと思います。しかし、彼らにはほかの多くの糖尿病のある方にはない強みがあります。それは、キャンプに参加する勇気を持っていることです。

キャンプでは子どもたちは特別な「糖尿病チーム」を作ることが出来ます。彼らは1週間ほど昼夜を共に過ごして、私が参加したようなワークショップやアクティビティを一緒に経験します。彼らは互いに糖尿病をはじめとした、あらゆることについて話すことが出来る仲間となります。

ポジティブに糖尿病とともに生きる人たちに囲まれて過ごすことは、非常に有益なことだと思います。

 

少なくともキャンプに参加している数日間は、インスリンを注射し、血糖値を確認することが「普通」になり、糖尿病から生じる問題や精神的な負担から解放されます。

このキャンプのような糖尿病のある方同士をつなげていくプログラムに参加した人たちは、自分の病気を恥ずかしがらず、糖尿病であることを明言し、誇りに思うことができると感じました。

私のブログの第2回目でも書きましたが、糖尿病と向き合う心理的な側面は日本が抱える大きな課題なのです。

多くの子どもたちがこのキャンプでできた友人と長年交友を続けています。私が参加したあるキャンプで、18~20歳のOB&OGのスタッフたちに会いました。彼らは10代前半でこのキャンプで友に出会い、現在ではボランティアとして幼いキャンパーたちを手助けする「糖尿病チームメイト」として毎年キャンプに参加しているそうです。

病院や診察室の外で糖尿病についてオープンに自由に話せるということは、精神的にはもちろん、糖尿病管理にもとても大切です。

 

糖尿病チームのコミュニティが広ければ広いほど、糖尿病へのモチベーションは大きくなるということを、私はこれまでの旅を通して実感してきました。私自身も、チーム ノボ ノルディスクの一員として16人の糖尿病チームメイトに囲まれて過ごすことで、自分の糖尿病管理を強く意識するようになり、糖尿病に制限されているという感覚が減少し、自分の夢に邁進できた経験があります。

from the left Fabio  Calabria, AUS, Thomas Raeymaekers, BEL, David Lozano Riba, ESP, Kevin de Mesmaeker, BEL, Training Camp of Team Novo Nordisk in Terracina, Italy, January 24th 2013, © Stefan Schwenke

糖尿病とともに生きる私たちに必要なのは、大きな「チーム」です。私はオーストラリアで育ち、優秀な内分泌科医や栄養士、看護師、生きる為に必要なインスリンを作る製薬企業に恵まれて暮らしてこられた環境に、心から感謝しています。

実際に私は、周りで支えてくれた大きなチームのおかげでこれまで色々なことを達成してきました。

一人で何かを成し遂げることはできません。この糖尿病チームのメンバー全員が必要なのです。

日本での滞在中、私の体験談に関心を向けてくださった多くの内分泌科医とお話しすることができました。彼らの患者さんの多くが、糖尿病とともに生きることによる絶望や不当な思いと闘っていることを教えてくれました。医師である彼ら自身は糖尿病ではありませんが、私の体験談に励まされた、と喜んでくださいました。医師として、ネガティブな気持ちを抱える大勢の患者さんと毎日向き合いながらも、ポジティブで明るい気持ちを保つことはとても難しいと思います。ネガティブな思いに苦しんでいる患者さんには、ぜひチーム ノボ ノルディスクのような糖尿病を勇敢に克服している人々の物語を聞いていただきたいのですが、イベントでお会いした参加者の中には、既に前向きに糖尿病と向き合っており、このような話をするまでもない方もたくさんいました。

今回、私が出会った医師たちは、私の体験談を聞き、ポジティブな声を切に求める患者さんたちに前向きな物語を伝えることができると、とても喜んでくださいましたことは嬉しい経験です

多くの人々が、糖尿病に対してだけではなく、人生の課題や試練に人知れずもがいています。チーム ノボ ノルディスクのような組織とともに、糖尿病における「チーム」の価値を高めていくことで、少なくとも糖尿病のある方が自分にあったコミュニティを見つける糧になると思います。

ときには医師や看護師などを通じて必要とする人々に手を差し伸べなければならないときもあるでしょう。

私の人生は私のチームによって大きく変わりましたし、私は他の人たちのチームにも喜んで参加したいです。チームは大きければ大きいほど強くなるのです。

私は今後もいくつかの自転車レースに参加する予定です。特に「ツール・ド・ティモール」というマウンテンバイクレースはサイクリストである私にとって次なるビッグチャレンジになるでしょう。キャンベラの国会議事堂で行われるJDRFのイベント「キッズ・イン・ザ・ハウス」で「チームメイト」と楽しく話すことができることもとても楽しみです。

このブログを読んでくださりありがとうございます。

それでは、また。ごきげんよう。

ジャスティン モリス氏 略歴:

10歳で1型糖尿病と診断されたジャスティンさんは、人生の夢と目標を見失いかけていましたが、糖尿病対策を目的に自転車競技を始め、プロのサイクリストの道へ進むきっかけにもなりました。ロードレースのプロサイクリストとして5年間を過ごし、競技と糖尿病のコントロールを両立させながら世界の5大陸を転戦しました。その間の競技生活から多くのことを学び、競技の中でも外でも困難に対処していく経験と知恵が身に付いたと語っています。

その後、プロ選手を引退してオーストラリアのマッコーリー大学を2015年に卒業し、心理学と教育学の学位を取得しました。大学在学中には、学業だけでなくスポーツ競技でも優れた成績を収めた学生に贈られる「ブルース・アワード」を授与されました。現在もチームSubaru-marathonMTB.comに所属してマウンテンバイクのマルチデー自転車レースに出場しており、変わらぬ健脚ぶりを発揮しています。クロコダイル・トロフィー、シンプソン・デザート・バイク・チャレンジ、パイオニア・イン・ニュージーランド、モンゴル・バイク・チャレンジの各レースで表彰台入賞を果たしています。

2011年からは、自転車競技経験をもとにした情報発信を開始しました。希望と力を与え、逆境を克服するメッセージを世界中の人々に発信し続けています。

連絡先:

Twitter: @JustinMorrisTT1
Instagram: @justinmorrismdog
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/justin-morris-3a71b4a7/www.mindmatterscoach.com

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