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コンシェルジュ

汗をかかなくなったような気がします
糖尿病の影響でしょうか

No.2

東京女子医科大学 内科学講座
糖尿病・代謝内科学分野 須田 里佳

※ご所属・役職名は監修・取材当時のものです。

糖尿病と発汗

糖尿病のある方が、「汗をかかなくなった」と感じている場合、それは糖尿病の影響かもしれません。糖尿病と発汗の減少の関係、そしてそれに伴う症状や日頃からできる対策を紹介します。

自律神経が障害され、発汗が減少

糖尿病で発汗が減少する理由には、糖尿病の三大合併症のひとつである「糖尿病性神経障害」の影響が考えられます。神経障害には知覚神経、運動神経と自律神経の3種がありますが、このうち自律神経障害が発汗の減少を起こすことに関与しています。発汗の減少は皮膚の乾燥に繋がり、特に下肢の皮膚が乾燥しやすくなります。

発汗が減ると足病変に繋がる

下肢の発汗が減ると、両足のつま先、かかと、足底などが乾燥したり、亀裂が出来たりすることがあります。皮膚の乾燥は皮膚のバリア機能も低下させるため、小さい傷でも細菌などに感染しやすくなります。糖尿病のある方では、このような症状を放置しておくと悪化しやすく、重症の感染症である蜂窩織炎 (ほうかしきえん) などを発症することがあります。糖尿病性神経障害があると、知覚神経も障害されていますので、傷やささくれ、亀裂などによる痛みも感じにくくなり、傷が大きくなるまで気が付きにくいため、治療が遅れがちになることも少なくありません。

日頃の注意

発汗の減少をもたらす糖尿病性神経障害を予防し、悪化させないためには、まず食事療法や運動療法、薬物療法を含めた血糖の管理が何よりも重要です。また、自分の足をよく見て、乾燥していないか、傷がないかなど、毎日のセルフチェックが大切になります。もし、気になることがあれば主治医に相談して、保湿剤などを処方してもらいましょう。また、必要に応じてフットケア外来の受診を勧められることもあるかもしれません。日頃から主治医や医療スタッフと信頼関係を築いて、小さな事でも相談するように心がけましょう。

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