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コンシェルジュ

血圧が高くなってきました注意することがありますか

No.1

東京女子医科大学 内科学講座
糖尿病・代謝内科学分野 森 友実

糖尿病と高血圧

高血圧は脳卒中や心筋梗塞といった大血管合併症の危険因子であることが知られています。
糖尿病のある方は血圧が高くなりやすく、「高血圧治療ガイドライン2019」では糖尿病のある方の血圧の目標値は診察室血圧130/80 mmHg(家庭血圧 125/75 mmHg) 未満とされています1)

血圧が高いと言われたら…

塩分摂取量

塩分を摂る量が多いほど血圧は高くなります。醤油や味噌など日本の伝統的な調味料、漬物や干物などの加工食品は食塩を多く含むため、日本人は習慣的に摂取量が多いと言われています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2025年版」では、1日の塩分摂取の目標量は高血圧がない方では、男性7.5g未満、女性6.5g未満です2)。濃い味付けに慣れてしまっている方は、食事に含まれる塩分の量を見直し、徐々に薄味にして摂取量を減らしていきましょう。

肥満

近年、肥満があり高血圧のある方の割合が増加しています。食生活の見直しはもちろん、有酸素運動やレジスタンス運動、バランス運動を組み合わせることは、体重を減らすだけでなく、高血圧の改善に有用です。年齢や合併症、生活スタイルに合わせて必要な運動量は変わってくるため主治医の先生と相談し、無理のない範囲で継続していきましょう。

飲酒

アルコールは血管を拡げる働きがあるため、少量であれば一時的に血圧を低下させます。しかし、毎日の飲酒や飲酒量が多い時には高血圧を引き起こします。「健康日本21」では純アルコールで男性は10-19g、女性では9gまでが望ましいとされています3)。ビール 500mLあたり、純アルコール量は20g含まれており、お酒が好きな方は休肝日を作ることや摂取量に気を付けてみてください。

軽度の高血圧であれば上に記載したことを行うことで改善する可能性があります。しかし、長い期間血圧が高い状態が続くと他の病気を発症する原因にもなるため、生活習慣の改善と共に、必要であれば薬を用いてコントロールしていきましょう。

1)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会.「 高血圧治療ガイドライン2019」
2)「日本人の食事摂取基準」策定検討会. 日本人の食事摂取基準(2025年版)
3)厚生労働省.健康日本21(第3次)

井倉和紀
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

JP25CD00024