糖尿病NEWS解説
世界中の子どもたちの過体重または肥満が増加傾向であり、WHOでは肥満予防の各国の早急な対応を求める提案を行った。
近年世界的な肥満者の増加が、多くの余病の誘因として重要視されていますが、ついに乳幼児についての報告もなされました。WHOは、2014年8月に過体重または肥満乳幼児(0〜5歳)が世界的に増加していることを発表しました。2012年の報告では4千4百万人でしたが、25年には1.6倍の7千万人まで増加すると試算しています。これまでは所得の多い国での増加が問題でしたが、最近では低・中所得の国々でも都市部を中心に増加していると指摘しています。都市部の子ども達の身体活動の低下、交通手段の変化、高カロリー食などが要因となっているようです。低・中所得の国々では、同時に低栄養と感染症の二つの大きな問題も抱えています。低栄養状態では感染症も重篤化しやすいため、その解決手段が高糖質、高脂肪、高カロリー、高塩分で安価に供給できる食事となります。
肥満は糖尿病、心血管病変の増加、骨格系の障害、癌の発症にも影響し、小児期からの肥満は、これらの疾患の発症リスクを更に上げるため、早急な対策が必要です。WHOでは、脂肪と糖分摂取をひかえ、野菜や果物の摂取を増やし、毎日60分程度の身体活動をすることを推奨していますが、同時に国や地域をあげて行政の早急な取り組みが重要であると強調しています。世界的な肥満を少しでも解消するには、どの国でも乳幼児から適切な食生活の指導が重要です。
東京女子医科大学 糖尿病センター
三浦 順之助
監修 内潟 安子 [創刊によせて
]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長
編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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