Go to the page content
3 min. read
3 min. read

コンシェルジュ

傷が治りにくいと思うのですが、どうしたらよいでしょうか

No.3

日常生活で、うっかり傷を作ってしまったり、怪我をすることがあると思います。糖尿病のある方は、小さな傷でも治りにくく、重症化することがあるので注意が必要です。特に、足の傷は、悪化すると糖尿病合併症のひとつである「糖尿病足病変」に進展することがあるので、予防はもちろん、早期発見、早期治療が大事です。

傷が治りにくいメカニズム

糖尿病のある方の傷が治りにくい原因は、高血糖が続くことによって生じる「血流障害」「神経障害」「免疫機能低下」の3要素が複雑に絡み合っています。

血流障害:高血糖が続き、動脈硬化になると、血管が細くなって血流が悪くなり、傷が治るために必要な酸素や栄養が行き渡らなくなります。

神経障害:神経障害があると感覚が鈍くなり、本来傷ができて痛みを感じるような場合でも、悪化するまで気がつきにくくなります。

免疫機能の低下:高血糖(血糖値250mg/dL 以上)になると、免疫機能が低下するといわれています。免疫機能が低下すると、小さな傷でも感染しやすく、治りにくくなります。

日頃から注意することは?

まずは良好な血糖管理を計測することが大切です。また、動脈硬化を予防するためにも禁煙が重要です。足の傷は気がつきにくいので、日頃から足をよく観察し、清潔を保つようにしましょう。自分で確認しにくい場合は、周囲の人にサポートしてもらいましょう。日々の傷を作らない工夫と注意が大切です。

傷が治りにくいと感じたら

小さい傷でも、なるべく早く受診して主治医に相談して下さい。傷を悪化させないためには、早期発見、早期治療が大切です。

*正しい爪の切り方や、詳しいフットケアについては、ノボケアcircle20 号「糖尿病とフットケア」をご参照下さい。
http://www.club-dm.jp/novocare_all_in/novocare_circle/academy/academy20.html

井出理沙
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助
アイウエオ順

JP23DI00227