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Blueprint for Change Programme 2021:血糖値と糖尿病合併症の関連性

インスリン発見100周年を記念してノボ ノルディスクが発行した「Blueprint for Change Programme 2021」より、今回は「血糖値と糖尿病合併症の関連性」についてご紹介します。

血糖値測定の歴史

1970年代以前、医師と糖尿病患者さんが血糖コントロールをするために必要な知識とテクノロジーは存在していませんでした。たとえば、血糖測定器が発明される以前は、正しい血糖値を把握することは困難な状況にありました。どんなにインスリン製剤が量産されても、血糖値が測定できなければ治療もままなりません。

血糖測定器が発明される以前、血糖値を判定する唯一の方法は尿検査でした。ところが検査によって認識された段階では、血糖値は既に高値になっているという課題がありました。続いて登場した最初の血糖検査紙も、測定結果に大きな視覚的ばらつきがあるなど、重大な欠点がありました。

そして1960年代後半に携帯型の血糖測定器が登場しました。1970年には広く利用されるようになり、それ以来、実用的な血糖自己測定が可能になりました1。今では多くの患者さんが自宅で簡単に血糖値が測定できるようになり、患者さんの糖尿病の管理法は大きく変化しました1。そして現在、コネクテッド技術により、昼夜を問わず定期的に血糖値を測定できるようになり、持続的な測定が可能になっています。

血糖コントロールの現状と課題

総HbA1cとして測定されるグリコヘモグロビンは、血糖コントロールの指標値として1977年頃に臨床検査施設に初めて導入されました。現在、HbA1cは糖尿病患者さんの血糖コントロールを評価するための絶対的指標となっています。

ところが昨今、HbA1cの限界に対する認識も高まっています。それは、HbA1cは経時的な平均値の間接的な指標であるため、患者さんが経験したかもしれない高血糖や低血糖までは読み取れないからです。そのため、良好な血糖コントロール状態にあると思われている患者さんでも、この高血糖や低血糖に気付かず合併症発症リスクを抱えている可能性があります2

したがってHbA1c以外の治療法を改めて検討する必要性への認識が高まっています3。たとえば、臨床的な目標範囲に血糖値が収まっている時間の割合であるTIR (time in range) の改善があげられます3。CORE Diabetes ModelのシミュレーションによるとTIRの改善によって低血糖イベントを最大40%削減できるだけでなく、糖尿病合併症に関連する医療費も大幅に削減できることが示されています4

HbA1cの発見により、医師たちは生活習慣の改善と薬物療法が長期的な健康に及ぼす影響について詳細に評価することができるようになりました6。これが契機となり、血糖コントロールと糖尿病合併症の関連性を理解するための一連の大規模試験が行われることになりました。

この大規模試験により、きちんと血糖コントロールをすることで、細小血管アウトカムに有益な効果がもたらされたり、高血糖や高血圧、高コレステロールの低減が心疾患や死亡リスクを低減したりすることも確認されました7

糖尿病合併症の種類と予防策

糖尿病は血管 (動脈、静脈、毛細血管) の損傷と関連しており、構造的および機能的な臓器障害を引き起こす可能性があります。これらの合併症は、糖尿病患者さんの予後や平均余命、生活の質に大きな影響を及ぼします。そして糖尿病関連の治療やケアの大きなコスト要因にもなります8。合併症は、眼・腎臓・神経に血液を送る小血管の損傷 (細小血管症) と、脳・心臓・四肢に血液を送る大血管の損傷 (大血管症) の2種類あります8。糖尿病治療ではこれらの合併症の管理に重点を置いています。細小血管症は血糖コントロールをしっかり行うことで回避できるのに対し、大血管症は脂質異常症、高血圧または他の心血管リスク因子を治療することが最も優先とされています。

血糖コントロールの根本的なメカニズムについては、まだ十分に解明されていないことが多くあります。たとえば、コントロールが良好な患者さんの中に合併症を発症する人もいれば、コントロールが最適な状態にない患者さんでも合併症を発症しない人もいます。これらの要因を解明するために、さらなる研究が必要です。

 

「Blueprint for Change Programme 2021」全文はこちらからご覧ください。


1.Tattersall RB. The History of Diabetes Mellitus. In: Textbook of Diabetes. 2010:1–23.

2.Beck RW, Connor CG, Mullen DM, Wesley DM, Bergenstal RM. The fallacy of average: how using HbA1c alone to assess glycemic control can be misleading. Diabetes care. 2017;40(8):994–999.

3.Runge AS, Kennedy L, Brown AS, et al.Does Time-in-Range Matter? Perspectives From People With Diabetes on the Success of Current Therapies and the Drivers of Improved Outcomes. Clinical diabetes : a publication of the American Diabetes Association. 2018;36(2):112–119.

4. Beck RW, Bergenstal RM, Riddlesworth TD, et al. Validation of time in range as an outcome measure for diabetes clinical trials. Diabetes care. 2019;42(3):400–405.

5. Gabbay MAL, Rodacki M, Calliari LE,et al. Time in range: a new parameter to evaluate blood glucose control in patients with diabetes. Diabetology & metabolic syndrome. 2020;12:22.53. Gebel E. The start of something good:the discovery of HbA(1c) and the American Diabetes Association Samuel Rahbar Outstanding Discovery Award. Diabetes care. 2012;35(12):2429–2431.

6.Gebel E. The start of something good:the discovery of HbA(1c) and the American Diabetes Association Samuel Rahbar Outstanding Discovery Award.Diabetes care. 2012;35(12):2429–2431.

7. Narayan KMV. The Steno Diabetes Study. Clinical Diabetes. 2004;22(1):34–35.

8. Flyvbjerg A. Pathogenesis of microvascular complications. Textbook of Diabetes. 2017:541–553.

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