増渕先生 2024 年の6 月から津田さんには看護師として当院で働いてもらっています。津田さんが他の看護師さんと違うところは、1 型糖尿病であるという点です。ご自身の1型糖尿病の経験と看護師としての専門知識の組み合わせで、当院の患者さん方のよりよいサポートをしてくれたらと思い、採用しました。
津田さん 4 歳で1型糖尿病と診断されました。インスリンの注射もしていましたが、今はインスリンポンプを使っています。子供の頃、私はインスリンの注射にはあまり抵抗はありませんでした。どうして、私だけ食事の前に注射をするの?という、その程度の疑問でした。低血糖で具合が悪くなり保健室で休む時もありました。低血糖の対応のために甘いジュースなどを飲んでいると、友達に見られて、「保健室でひとりだけ甘いジュース飲んでる」「特別扱いされてる」って言われるのが、ちょっとつらいと思った時期もありました。
増渕先生 小児の1型糖尿病ならではの悩みですね。
津田さん 楽しかった思い出もあります。特に小児糖尿病サマーキャンプは楽しかったですね。同じ病気のある多くの先輩に出会うことができたり、毎回楽しみにしていました。サマーキャンプでの経験が看護師を目指すきっかけになりました。
増渕先生 津田さんにはインスリンポンプを使用している経験を活し、新たにインスリンポンプを使用したいと希望される方へのサポートをお願いしたいと思っています。
津田さん インスリンポンプも様々な種類があり、私自身もいくつか機械を変えた経験があります。一人ひとりの病状や生活スタイルが異なるので、私の経験も踏まえて、それぞれの方に合ったアドバイスができればと思っています。
星美幸看護師 津田さんの存在は、私たちスタッフにとっても貴重です。津田さんの経験は、患者さんだけでなく、私たちスタッフのスキルアップ、サポート力アップに、とても役立っていると感じています。教科書には書いていない、当事者ならではの経験、その時々の気持ちの変動など、細かいところを教えてもらえたらと思います。
増渕先生 糖尿病の治療にはチームの力も大切ですね。
新しく1 型で小児の糖尿病の方が紹介されてくる予定があります。ぜひ、津田さんにもスタッフのひとりとして、サポートをしてほしいと思っています。
津田さん 1 型糖尿病は、適切な管理をすれば普通の生活ができることを伝えいきたいと思います。
そして、私自身ももっともっと経験を積んで、将来は糖尿病療養指導士の資格取得を目指したいと思っています。そのためにも、一所懸命努力を続けていきますので、これからもどうぞよろしくお願い致します。
増渕先生 糖糖尿病では、将来iPS 細胞を用いた治療法の可能性も示唆されています。津田さんだけでなく、多くの1型糖尿病の方がこの恩恵を得ることができるのかもしれません。希望を持って治療に取り組む姿勢が大切ですね。これからも一緒に頑張っていきましょう。