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ペンといっしょに

高齢者とインスリン

No.8

インスリンの取り扱いで、ちょっと困ったことが出てきたなと思ったことはありませんか?
加齢によって起こりがちな注意点や対処法、自分でもできる簡単な工夫をアドバイスします。

インスリンの注入で不安なことありませんか?

インスリンの注入は十分慣れていると思っていたのに、この頃、少し気になることが出てきたと感じたことはありませんか?年齢を重ねると以下のようなことが起こりがちです。

  • 手先の感覚が鈍る。握力が低下する。
  • 視力が落ちた。記憶があいまいになってきた。
  • 低血糖に気が付きにくくなった。

もし、上記のようなことが気になっている場合には、対処する方法があります。

 

手先の感覚や握力が低下したら

  • 「注入ボタンが押しづらい」、「注入器が持ちにくい」といったインスリン治療をされる方のニーズに応えた注入器が開発されています。
  • お使いのインスリン注入器で不便を感じている場合は、使いやすいものがあるか主治医に相談してみましょう。

 

視力や記憶力が落ちてきたら

 
  • 注入器の目盛用の拡大鏡を利用して、目盛を見やすくしましょう。
  • 目盛が大きく、見やすい注入器も開発されています。
  • 単位設定や注入完了を、音でサポートする注入器もあります。
  • インスリンを使ったら、手帳やカレンダーに印を付けるようにしましょう。
  • インスリンを使う際には、家族や周囲の人に一緒に確認してもらいましょう。

 

低血糖に気付きにくくなってきたら

  • 高齢になると、低血糖の状態に気が付きにくくなります。
  • 食が細くなったり、腎臓の機能が低下したりすると低血糖を起こしやすくなります。
  • 以前に比べ、ぼうっとしていることが多くなった場合には、低血糖の可能性を考えることが大切です。
  • 家族や周囲の人には血糖測定の方法、万が一の場合の対処(グルカゴン注射)をお願いしておきましょう。

 

低血糖予防に「分食」のすすめ

 
  • 1食の中から一部を取り分けておき、次の食事との間に取り分けた分を摂ることを「分食」と言います。
  • 分食は1日の総摂取量を増やさずに、低血糖を予防することができます。
    例)朝食のうち、果物を「分食」にし、10時過ぎに摂る

主治医に相談するタイミング

生活が変化した時には、インスリンの種類や量を調整することがありますので、主治医にお知らせ下さい。
例)
 ・高齢者だけの世帯になった
 ・デイサービスを受けるようになった
 ・外出しないことが多くなった
 ・食事の量が減った
 ・視力の低下
 ・筋力の低下 など

 

ショートステイなどを利用する時には

  • 使用しているインスリンの種類、量などを記載したものを携帯しましょう。
  • 低血糖の時の対処について、あらかじめ互いに確認しておきましょう。

 

 

お薬だけでなく、インスリンの注入器も進歩し続けています。よりよい血糖管理のためにも、不都合があれば、主治医に相談して、よい方法を一緒に考えていきましょう。

 

東京女子医科大学 糖尿病センター
岩﨑 直子

次回は「インスリン治療 学校での対処の仕方」をお届けします。

監修 内潟 安子 [創刊によせて ]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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