泉野先生 松尾さんは2
型糖尿病を10年間治療した後、今度は別の糖尿病、つまり1型糖尿病になりました。
松尾さん 先生のところに伺った2年前。ちょうど認知症を患った主人の介護と、私の糖尿病が1型になった時期が重なって、両方を抱えてとても大変でした。
泉野先生 2型糖尿病の時にも、一生懸命治療に努力していましたね。そして、1型糖尿病になった今も、とても頑張っています。
松尾さん
先生のところに伺った2年前。ちょうど認知症を患った主人の介護と、私の糖尿病が1型になった時期が重なって、両方を抱えてとても大変でした。
泉野先生 飲み薬を飲んでも血糖値が下がらず、前の先生から泉野先生を紹介された頃は、介護も大変な時期でした。泉野先生から「可哀そうにねぇ」と声をかけて頂いて。自分の体のことばかりに専念できないこと、家族のために努力している自分を認めてもらったと感じたんです。気分がすーっとしました。本当に分って下さる。親身になってくれると思いました。
進藤春菜看護師 インスリンはまず外来で導入しましたね。
松尾さん 一番忙しい時期だったので、まずはインスリンの使い方だけ教えて頂きました。インスリンを始めて4日目に主人が他界したので、落ち着いてから、改めて入院して指導して頂きました。無理をお願いしましたが、お蔭で主人の介護を満足のいくところまでできたと思っています。
進藤春菜看護師 入院中は一生懸命、食事や運動など、色々なことを勉強して頂きました。
松尾さん 軽い低血糖を経験しましたが、かえって低血糖の前触れや対処法をしっかり教えて頂けたので、今もとても役立っています。
進藤春菜看護師 食事、血糖値、運動など、毎日の記録をするオリジナルのノートを作っていらっしゃいますね。
松尾さん 入院した際に、色々な資料を見せて頂いたので、退院したら自己管理のノートを作ろうと考えて工夫してみました。
インスリンを使ってから、血糖自己測定をするので、自分の目で血糖値がきちんと下がるのを確認できるのがうれしいです。運動した後はちゃんと血糖値が下がっているのが分るんです。十分に血糖値が下がっていないと、もう少し歩いてこようと、また出かけたりすることもあるんです(笑)。食事の量やおやつもちゃんと血糖値に表れるので、勉強になります。
泉野先生 1型糖尿病と分かっても、くよくよしたところもまったくないですね。むしろ、楽しく向き合って
いる感じがしますよ。
松尾さん 薬を使っているから何もしないではなく、こんなことをしたら、どんなよい影響があるかな?何て考えながら付き合っています。同じするなら楽しくしないと!と思うんです。もう糖尿病はお友達という感じですね(笑)。
泉野先生 月に一度、松尾さんの笑顔を見るのが、私にとっても楽しみになっていますよ。一緒に楽しく元気に年をとりましょう。
泉野清宏先生
社会医療法人春回会 井上病院(長崎県長崎市)院長
日本内科学会(総合内科 専門医・指導医)
精悍な面立ちに真っ白な白衣がまぶしい、院長先生。優しいまなざしと温かな声でお話しを始めると、皆が引き込まれる。年2 回の糖尿病教室は、講義と実習。患者さんとご家族がたくさん、和気あいあいと参加されている。
松尾喜美子さん
2 型糖尿病を経験後、2 年前に1
型糖尿病になり、インスリンを使用中。歩くことが大好きで、新しいウォーキングルートの開発も楽しみのひとつ。小柄な体には好奇心とやる気があふれている。
左から進藤春菜看護師、松尾喜美子さん、泉野清宏先生
監修 内潟 安子 [ 創刊によせて
]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長
編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
アイウエオ順
管理番号:JP/DG/0818/0061