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薬の組み合わせ

No.7

 

最近糖尿病の注射薬には、2種類のインスリンを組み合わせた製剤や、インスリンとGLP-1受容体作動薬を組み合わせた製剤など、薬を組み合わせた製剤が登場してきました。それらの特徴を解説します。

 

糖尿病注射薬について

糖尿病の治療に使う注射薬には、インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬があります。

インスリン製剤は、インスリンの作用や膵臓からの分泌量が不足した糖尿病患者さんに対して、インスリンを注射して補い、血糖を下げる効果があります。超速効型、速効型、混合型、中間型、持効型溶解インスリンと、作用が発現する時間や持続する時間などの異なる製剤(図)を、糖尿病患者さんの病態や生活スタイルに合わせて使用します。

食事をして血糖値が高くなるとGLP-1というホルモンが小腸から分泌されて、インスリン分泌を促す作用を発揮します。GLP-1受容体作動薬による治療は、血糖値が高くなった時に、膵臓からインスリンが出るのを促して血糖値を改善します。

 

図:インスリン製剤の作用(イメージ)

インスリン製剤の作用(イメージ)

組み合わせのメリット

注射薬で治療をされている患者さんの中には、いくつかの製剤を組み合わせて使用されている方もいらっしゃるでしょう。複数の種類の注射薬を使うと、投与回数が増えたり、時間により使う製剤が異なることがあります。そこで、2種類の薬を組み合わせた注射薬が登場しました。①超速効型インスリンまたは速効型インスリン製剤に中間型インスリンを混合した混合型インスリン製剤、②超速効型インスリンと持効型溶解インスリンを組み合わせた配合溶解インスリン製剤、さらには③持効型溶解インスリンとGLP-1受容体作動薬を組み合わせた製剤です。1回の注射で2種類のインスリンを注射できるため、それぞれ単独で注射する場合と比べて、患者さんの利便性が高まること、注射回数を増やさずに血糖コントロールの改善が期待できること、GLP-1受容体作動薬の含まれる製剤ではより良い血糖コントロールを目指しつつ低血糖のリスクが減らせる可能性があります。

①混合型インスリン製剤
超速効型インスリンまたは速効型インスリン製剤に中間型インスリンを混合した製剤です。混合型インスリン製剤は使用する前に懸濁する必要がありますので、忘れずに懸濁してください。主に1日1~2回の注射を行います。

②配合溶解インスリン製剤
持効型溶解インスリンと超速効型インスリンの2 種類を、1つの注射に配合した製剤です。基礎分泌に相当する持効型インスリンは、1日の変動が少なく安定して血糖値をコントロールします。追加分泌に相当する超速効型インスリンは、食後の血糖値を速やかに下げる作用があります。1日1~ 2回の注射で、食後血糖値と空腹時血糖値の改善が期待できます。

③持効型溶解インスリンとGLP-1 受容体作動薬の配合製剤
持効型溶解インスリンとGLP-1受容体作動薬を1 つの注射に配合した製剤です。持効型溶解インスリンにGLP-1受容体作動薬の成分が加わることで、低血糖のリスクを増やさずより良好な血糖コントロールが可能になることがあります。持効型溶解インスリンの成分が足りないインスリンの補充をすることに加えて、GLP-1受容体作動薬の成分が血糖値に応じたインスリン分泌を促進することでより良い血糖コントロールを目指します。この配合製剤は1日1回の注射です。

糖尿病の注射薬による治療では、本来のインスリン分泌に少しでも近づけるように多くの製剤と治療方法が研究・開発されてきました。一方で、1日の注射回数が増える、薬剤の種類が増える、低血糖や体重増加を起こすなどの不便と感じる点もあります。薬を組み合わせた配合注射薬は、患者さんの利便性を高め、安全に血糖コントロールの改善が期待できるものです。

患者さんの病態により、配合製剤が使えない場合もあります。自分の病態や生活に合った製剤を主治医と相談しながら使用し、より良い血糖コントロールを目指しましょう。

 

 

入村 泉
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也

編集協力
北野滋彦、中神朋子、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

管理番号:JP21DI00017