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ぺん・くらぶ

正しい注射方法

No.5

インスリン注射は基本通りに行っていますか?間違った方法を続けていると、血糖管理に影響したり、注射部位が固くなってくることがあります。インスリン療法を始めたばかりの方も、ベテランの方ももう一度基本を見直してみましょう。

毎日の手技を振り返ってみましょう

インスリンの在宅自己注射を開始する際は、針や注射器の取り扱い、注射部位やその方法、製剤の保存や廃棄の仕方など、必ず医療スタッフから基本を習います。毎日繰り返し行う手技ですが、慣れが生じてくると、自己流に端折ることがあったり、間違った方法を繰り返す方が少なくありません。もう一度、次のポイントをしっかり行っているか、まずはご自身の手技を振り返ってみましょう。もし、「あれっ?」と思うことがあったら、手技を一度見直す必要があるかもしれません。

正しい手技が大切な理由

正しい注射方法には、必ず安全で正確に注入するための意味があります。例えば、針を毎回変える必要があるのは、同じ針を使い続けて不潔にならないためだけではありません。針を付けたままにすると、薬液が針の中で固まったり、カートリッジに空気が入ることで、注入不良や注射器の損傷に繋がることがあるからです。また、何回も使用した針先は鈍くなるため、痛みが生じたり、皮膚や皮下へのダメージが大きく、皮下組織が硬くなる原因にもなります。

間違った手技を続けていると、期待される薬の効果が得られず、血糖管理がうまくいかない原因になることがあります。

注射部位のローテーション

インスリンの注射部位は、腹部、大腿部、臀部、上腕などが主に使用されますが、部位によりインスリンの吸収速度が違うため、主治医に教わった場所に注射してください。また、教わった部位の中で、毎回2~3cmずつ、ずらして注射するのが、「注射部位のローテーション」です。

硬結に注意

いつも同じ部位にインスリンを注射していると、注射部位に皮下脂肪が集まった脂肪過形成や、インスリン由来のアミロイド( 蛋白質の線維化した物質)により、皮下に硬い固まり( 硬結、インスリンボール)ができることがあります。注射部位のローテーションをしているつもりでも、利き手やそれぞれに注射しやすい場所があるため、硬結ができてしまっていることがあります。一度できた硬結はなかなか元に戻りません。硬結部位は皮膚が硬くなっていますが、痛みがほとんどないので、ご自身でも気が付かないことが少なくありません。注射部位に硬結がないか、触って確認してみましょう。

硬結に気付いたら

硬結がある場合には、主治医に必ず報告してください。硬結部位はインスリンが吸収されにくく、注射したインスリン量に見合う効果が得られないため、血糖管理がうまくいかないことがあります。また、効果が出ないため、インスリンの量を増やし、硬結のない部分に注射を行うと、今度は低血糖を起こしてしまうおそれもあります。
ご自分の手技が正しいのか、自己流になっていないか、時々確認してみましょう。また、不安や心配があれば気軽に主治医や看護師に相談してください。

日本糖尿病協会のホームページで、「インスリン自己注射ガイド」が閲覧、ダウンロードできます。インスリンの保管方法や注射器の取り扱い、押さえておくべきポイントなど、イラスト入りでわかりやすく解説されています。ぜひ、活用してみてください。
日本糖尿病協会https://www.nittokyo.or.jp

望月 翔太
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助
アイウエオ順

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