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ぺん・くらぶ

糖尿病と管理アプリケーション

No.12

情報伝達技術が発達し、インターネットを使ってさまざまな物や人が繋がる時代になりました。スマートフォンやパソコンを使って糖尿病を管理できるアプリケーションと、新しいデバイス(スマートフォンやパソコンなどに繋がる電子機能を持つ機器や付属品)について紹介します。

自己管理に有用な通信機器の保有率

運動は食事の後1~3時間に実施すると、低血糖の心配が少なくなります。また、動かす部位に注射をすると、インスリンの吸収速度に影響を与える可能性があるので避けるようにします。例えば、自転車やマラソンの前には太ももに注射をしない、テニスの前には腕に注射をしない、など注意しましょう。

食後に運動する場合、その食前に打つ速効型あるいは超速効型インスリン製剤は10~ 20%減らします。ゴルフやマラソン、登山など長時間の運動を行う場合は、中間型あるいは持効型インスリン製剤も10%程度減らすと安全です。どの程度減らすべきかについて、あらかじめ主治医と相談しておくと良いでしょう。

なお、血糖コントロールが極端に悪い場合、糖尿病の合併症(自律神経障害や眼底出血など)を有している場合や足壊疽がある場合などは、運動を行うこと自体が勧められません。

糖尿病管理アプリケーションとは

糖尿病管理アプリケーション( 以下”アプリ”と呼びます)とは、スマートフォンやパソコンに糖尿病に関するデータを記録するためのプログラムです。スマートフォンやパソコンに、”アプリ”をダウンロードすると、毎日の食事や運動の状況、服薬記録、インスリン注射量、血糖値、血圧、体重など様々なデータを記録することができます。

“アプリ”への記録方法は、血糖値や血圧などの測定機器と連動して、スマートフォンやパソコンに数値が記録されるものと、ご自身で数値や画像などを入力するタイプのものがあります。

糖尿病管理“アプリ”のメリット

●記録が簡単で続けやすい
血糖値、体重、血圧、歩数などの活動量を測定すると、データがスマートフォンやパソコンに転送され、自動的に記録できるものがあります。また、測定機器と連動していない”アプリ”では、日常生活や糖尿病の治療に関する様々な項目を、数字や文字で入力して保存します。毎日の食事の写真を撮って保存できる”アプリ”もあります。

●モチベーションの維持
目標の設定ができる”アプリ”では日々の記録に対して励ましのメッセージが送られてくるものもあります。また、ご自身の過去の記録と比較して、よくなっているか、あるいは不十分であるかなどと振り返りをすることができます。特に良くなってきている時は、達成感を感じることもありますし、セルフケアを持続しているというモチベーションの維持にも繋がります。

●医療機関とのデータの共有
入力・記録したデータを医療機関と共有できる”アプリ”もあります。患者さんの日常生活の状況や健康状態を診察時に主治医が詳しく把握できるため、適切なサポートに繋がります。

“アプリ”と連携できるインスリン製剤のデバイス

インスリン注入器の中には、注入ボタンを押した時のインスリン注射量や時間を自動的に記憶するデバイスがあります。デバイス内のデータをスマートフォン内の”アプリ”に転送することもでき、そのまま記録として保存できます。また、このデータは家族や主治医と共有することも可能です。

自己管理を継続するために

糖尿病の治療は、食事・運動療法の励行に加え内服、注射による治療など糖尿病のある方自身の自己管理が重要です。ご家庭での生活状況や健康状態を診察時間内に正確に主治医に伝えるのはなかなか難しいと感じていらっしゃる方も多いと思います。今回ご紹介した糖尿病管理のための”アプリ”は、その一助になる可能性もあります。糖尿病のある方が”アプリ”を利用して医療機関とデータを共有することで、診療がさらに効率的になる可能性もあります。スマートフォンの操作に不慣れな方も、少し興味を持ってトライしてみてはいかがでしょうか。スマートフォンなどデジタル機器が苦手な方は、日本糖尿病協会の自己管理ノートや糖尿病連携手帳、自作のノートなどを活用して、自己管理に役立ててください2)

参考:アプリの紹介や入手ができるサイト例
糖尿病のアプリ・ツール | 糖尿病ネットワーク
https://dm-net.co.jp/app/

1) 総務省:令和3 年情報通信白書 第2 節 ICT サービスの利用動向
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242110.html

2) 日本糖尿病協会 協会グッズ
https://www.nittokyo.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=4#02

 

三浦 順之助
東京女子医科大学 糖尿病・代謝内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

JP23DI00227