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ぺん・くらぶ

インスリンと運動

No.11

春や秋は、外での活動が気持ちの良い季節ですね。インスリン療法を行っている方もそうでない方と同様に運動や旅行を楽しむことができます。運動や旅行を満喫するための安全なインスリン投与方法、低血糖を防ぐ方法を解説します。

運動前の注意点・インスリン量の調整

運動は食事の後1~3時間に実施すると、低血糖の心配が少なくなります。また、動かす部位に注射をすると、インスリンの吸収速度に影響を与える可能性があるので避けるようにします。例えば、自転車やマラソンの前には太ももに注射をしない、テニスの前には腕に注射をしない、など注意しましょう。

食後に運動する場合、その食前に打つ速効型あるいは超速効型インスリン製剤は10~ 20%減らします。ゴルフやマラソン、登山など長時間の運動を行う場合は、中間型あるいは持効型インスリン製剤も10%程度減らすと安全です。どの程度減らすべきかについて、あらかじめ主治医と相談しておくと良いでしょう。

なお、血糖管理が極端に悪い場合、糖尿病の合併症(自律神経障害や眼底出血など)を有している場合や足壊疽がある場合などは、運動を行うこと自体が勧められません。

運動中、運動後の低血糖予防

運動前に血糖値を測りましょう。目安として、血糖値が200mg/dL 以上であれば補食なし、それ以下であれば1 ~2単位(80~ 160kcal)補食をします。

ゴルフやハイキングなどの長時間のゆっくりした運動の場合は、牛乳、パン、おにぎりなど、お腹にたまり消化吸収に時間のかかるものを摂ります。テニスやランニングのように短時間に大量のエネルギーを消費する運動では、スポーツ飲料などブドウ糖が含まれた吸収が早いものを摂ることが勧められます。いずれの運動でも、低血糖になった場合にすぐ対応できるよう、ブドウ糖や清涼飲料水をすぐ出せるよう準備しておきましょう。

運動によりインスリンの効きが良くなり、運動後の夜間に突然低血糖を起こすことがあります。そのため激しい運動を行った日は、就寝前の中間型あるいは持効型インスリン製剤を減らすことを考慮します。就寝前に血糖値を測定し、低ければ牛乳やビスケットなど消化吸収に時間がかかるものを補食すると、夜間から早朝の低血糖予防になります。

旅行に行く時の注意点

旅先では日常と異なる時間、活動、食事内容となるため、血糖値が不安定になりがちです。  不安なく旅を楽しむために、準備は万端にしておきましょう。

・薬やインスリン製剤は、荷物の紛失、盗難を考えダブルで用意し、別々のカバンに入れる。可能なら同行者にも持ってもらう。

・インスリン製剤は手持ちのカバンに入れて持ち歩く。日の当たる場所や、エアコンの吹き出し口に置かない。

・飛行機に乗る時には、インスリン製剤は機内持ち込みカバンに入れる。

・万が一に備えて、糖尿病がある方用の緊急連絡用カードを携帯する。

大屋 純子
東京女子医科大学 糖尿病・代謝内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

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