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悩みがあれば何でも話して、みんなで考え、解決する

No.5

大村先生 橋本さんは私がこの病院で出会った、最初の1型糖尿病患者さんでした。まだ10代の患者さんだと聞いて、病名を説明してショックを受けないだろうか、どうやって元気付けようかと、少し重い気持ちでお会いしました。するとえっ! と思うほど、元気に笑っているのでびっくりしました。

橋本さん あの時は母が大泣きしてましたね(笑)。私自身は糖尿病なんだという、事実を知っただけのような感じでした。

大村先生 自然体で、受け入れの良い患者さんでしたね。

橋本さん ただ注射の治療と聞いて、それはイヤ!って思いました。ちょうど点滴をしていて、その針がすごく痛かったので、こんなのムリだと思ったんです。

大村先生 そうそう、それで当時の看護師さんが、点滴とは全然違う針で痛くないからね、ほら!って、インスリンを注射したのを思い出しました。

橋本さん 本当にそんなに痛くなくて(笑)。あの頃はちょうど教員を目指すと決めた頃でした。糖尿病はハンディになるのかなと心配しました。先生が優しく糖尿病やインスリンのことを教えてくれ、糖尿病があっても社会で活躍することは可能だと説明してくれました。母と先生の助けがなかったら、今の自分はいないと思います。

大村先生 最初の頃はコントロールも良かったですが、生活や環境が変わると新たな問題が出てきましたね。

橋本さん 学生で実家暮らしだったのが、就職して一人暮らしも始めたら、もう大変(笑)。今年、教育入院ならぬ10年ぶりの反省入院をして、色々勉強し直しました(笑)。

鵜飼梨恵看護師 皮下硬結があったり、月経と低血糖が連動していたりして心配しましたが、だいぶ良くなりましたね。

橋本さん 先生には何でも話してきましたが、女性同士でないと話しづらいこともあります。やはり女性の鵜飼看護師さんに、痕が残るのは嫌とか、こんな服装をしたいとか、女性ならではの相談ができたのは嬉しかったです。素敵なお姉さんというか、お友達ができた感じです。

大村先生 年齢や環境で悩みも変わりますね。患者さんごとの生活やライフステージに合わせた対応が必要だと思っています。

鵜飼梨恵看護師 橋本さんは前向きで頑張り屋さんです。目の前の教え子のことを考え、時に自分の治療が後回しになることもありますが、自分なりに治療に取り組み、結果が多少悪くても、くよくよしないのも良いところだと思います。

橋本さん 先生も看護師さんも、治療の中で困っていることをたくさん聞いてくれました。それで、自分だけで抱え込まずに済んでいます。それにはとても感謝しています。
生徒たちにも、糖尿病やインスリンのことを話しています。子どもなりに、何となく先生は大変そうということはわかっているようです。そのせいか、アレルギーのある生徒も自分の体質のことを言いやすい環境にあるようです。

大村先生 社会人としての充実した日々の話しを聞けるのは嬉しいことです。24時間、365日色々なことがあるので、抱え込まずに、何でも話してくれることが良い治療に繋がっていると思います。橋本さんには糖尿病やインスリン治療の経験を活かして、病気を持つ人の気持ちを理解できる先生になって欲しいと思っています。これからまだまだ長い人生、悩みや喜び、色々あるでしょう。その時々に一緒に泣いたり笑ったりできたらいいなあと思います。

 

 

悩みがあれば何でも話して、みんなで考え、解決する

左から大村先生、橋本さん、鵜飼看護師

橋本 亜佑美さん

橋本 亜佑美さん
1型糖尿病を1日4回のインスリンで治療中。小学校の先生になる夢を叶え、現在1年生の担任で奮闘中。食事やインスリン、そして補食のタイミングをうまく調節しながらの毎日。夢だった教員になり、まだまだやりたいことが山ほどある。大好きな子供たちに囲まれ、大変だけど、幸せいっぱいの日々。

 

大村 寧先生

大村 寧先生
公立甲賀病院(滋賀県甲賀市) 内科部長
糖尿病・内分泌センター長
日本糖尿病学会専門医、同指導医

患者さんひとり一人にそれぞれの生活やドラマがあるから、まずそれを聞く。検査値の変動は生活の結果。毎日、毎回、患者さんに気付かせてもらっていることがある。それを大切に、治療に応用し、また次に来院してくれるのを心から待っていてくれる先生。

 

監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也

編集協力
北野滋彦、中神朋子、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順

管理番号:JP20DI00165