糖尿病NEWS解説
玄米の天然成分がすいβ細胞に及ぼす影響
No.14
玄米に豊富に含まれる天然の成分に、血糖上昇をおさえる効果が示唆されました。
沖縄県では玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されることは従来から知られていましたが、詳しいことはわかっていませんでした。そこで琉球大学研究チームは、玄米の胚芽に含まれる「γ‐オリザノール」という成分に着目し、小しょう胞ほう体たいストレスとの関連を調べました。
2型糖尿病の原因のひとつは、すい臓のβ細胞が小胞体ストレスにより細胞死し、インスリン分泌が低下することです。小胞体は細胞内のタンパク質加工工場ですが、作られたタンパク質には不良品もあります。それらが小胞体に蓄積し、細胞の機能障害を起こすのが小胞体ストレスです。
マウスに高脂肪食を13週間与え続ける実験を行ったところ、小胞体ストレスによりβ細胞の細胞死が起きていることが確認され、インスリン分泌量が少なくなり、血糖値が上昇しました。別のマウスに、高脂肪食とγ‐オリザノールの両方を摂取させたところ、β細胞の機能は正常に保たれ、インスリン分泌量が増加していました。
玄米はγ‐オリザノールを豊富に含みます。今後、同研究チームはヒトを対象にした研究や、γ‐オリザノールを有効成分とする医薬品や機能性食品の開発にも着手していきます。
東京女子医科大学 糖尿病センター
小林 浩子
監修 内潟 安子 [創刊によせて
]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長
編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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