糖尿病NEWS解説
血糖コントロール不良が睡眠障害と動脈硬化に関連
No.13
HbA1c値が長期間高く、動脈硬化のある方では、睡眠が浅くなることが明らかになりました。
睡眠は、身体が眠っているのに脳が活動している「レム睡眠」と、脳が休息してぐっすり寝ている「ノンレム睡眠」に区分することができます。入眠してからまずノンレム睡眠が現れ、続いてレム睡眠になり、その後またノンレム睡眠が現れるというように、一晩の間に両者を繰り返します。入眠してからレム睡眠が出現するまでの時間は、深い睡眠のマーカーといわれ、睡眠の質と関係します。
睡眠障害があると、心筋梗塞などの心臓病が起こりやすいことが、以前から知られていましたが、詳しいことはわかっていませんでした。
2015年4月に、大阪市立大グループによって、2型糖尿病患者さんのHbA1c値、睡眠の質および頸動脈肥厚度を断面調査(※)した結果が、「プロスワン(注1)」という医学雑誌に掲載されました。睡眠薬を服用していない2型糖尿病患者さん63人に協力してもらい、睡眠中の脳波と頸動脈エコー検査を実施したものです。その結果、HbA1c値が高くなるほど、入眠してからレム睡眠が出現するまでの時間が短縮し、頸動脈肥厚度と正相関していることが明らかになりました。血糖コントロールが不良でHbA1c値が長期に高く、頸動脈の血管壁が厚く、動脈硬化が進行していると、睡眠が浅くなるのではないかと推察されます。
東京女子医科大学 東医療センター 病院長
内潟 安子
監修 内潟 安子 [創刊によせて
]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長
編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
アイウエオ順
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