再発に注視し経過観察が重要
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2型糖尿病の「寛解」の状態への移行に可能性
No.16
糖尿病は「治癒する病気ではない」1)とされていますが、投薬を中止してもHbA1cが上昇せずに過ごせるようになる方もいます。最近では、血糖降下薬の中止後にHbA1C
6.5%未満が少なくとも3ヵ月継続する場合を「寛解」と呼ぶようになっています2)。
新潟大学のグループは、2型糖尿病がある方の寛解の発生率と、寛解に関連する因子について調査しました3)。調査の対象となったのは日本の医療機関に通院する約4万8千人です。
その結果、千人/1年あたり10.
5人が寛解に至ることがわかりました。特に、男性である、罹病期間が短い、1年間で体重が大きく減ったなどの特徴を持つ方は、寛解率が高い傾向があることもわかりました。また、この調査では寛解の状態を維持できなくなる「再発」についても調査していて、寛解に至った方の3人に2人が1年以内に再発することもわかりました。
2型糖尿病と診断されて現在薬物療法を行っている方でも病状によっては「寛解」の状態に移行できる可能性がありますが、主治医との相談が必要ですので、自己判断で薬や通院を中止することは避けてください。また、再発も多いことから、寛解に至ったとしても経過を見ていくことが重要です。
1) 日本糖尿病学会 編・著. 糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂.
2)Riddle MC et al.:
Diabetes Care 44(10): 2438-2444, 2021.
3)Fujihara K et al.:
Diabetes Obes Metab 25(8): 2227-2235, 2023.
高木 聡
東京女子医科大学 糖尿病 ・代謝内科
監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也
編集協力
北野滋彦、小林浩子、佐伯忠賜朗、中神朋子、花井豪、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順
JP25CD00029