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コンシェルジュ

皮膚の乾燥について教えてください

No.4

糖尿病の治療をしていると皮膚がカサカサする、白い粉がふいたようになる、ひび割れたようになる、湿疹ができる、かゆみがあるなど皮膚症状を聞くことがあります。その主な原因は、「皮膚の乾燥」です。皮膚が乾燥し、かゆみが出て、ついついかいてしまうと、かゆみがひどくなる、傷ができるなど悪化することも少なくありません。かきこわした傷から感染し、糖尿病があると治りにくいという特徴もあります。皮膚のトラブルに繋がらないように、皮膚の乾燥を毎日のスキンケアで予防することが大切です。

皮膚の乾燥は糖尿病に関連

血糖値が高い状態が続くと、血液中の多くのブドウ糖が尿に排出されるため多尿になります。その時に体の中の水分も一緒に尿に排泄されてしまうため脱水気味となり、皮膚が乾燥しやすくなります。さらに、糖尿病神経障害で自律神経障害があると、発汗が損なわれ汗をかきにくくなり、皮膚の水分量が保持できず低下しやすくなります。発汗の低下はご自身ではなかなか気が付きにくいですが、糖尿病神経障害は他の合併症(網膜症、腎症)に比べて早期から起こることが多く、糖尿病を発症して早いうちから乾燥しやすい状態になっている可能性がありますので、皮膚の状態には注意してみてください。

皮膚の乾燥にはまずスキンケア

皮膚が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下して外部からの刺激を受けやすくなるため、かゆみや湿疹などの症状が起こる原因となります。皮膚の乾燥は保湿剤を塗ることで防ぎ、バリア機能の回復を促して正常な皮膚の状態に近付けることができます。かゆみが発生し、皮膚をかいてしまうとさらに皮膚バリア機能が低下する悪循環に陥ってしまうため、乾燥が軽度のうちから保湿剤を使用し、皮膚のコンディションを整えることが重要です。

保湿剤の使い分け

保湿剤には軟膏、クリーム、ローション、スプレーなどがあります。軟膏は保湿効果が高いですが、べた付きが気になる場合には、季節や塗る場所を選んで使用します。ローションは、使用感が軽く、薄く広く塗りやすいという特徴がありますが、保湿効果は軟膏に比べて低いです。クリームは軟膏とローションの中間です。スプレータイプのものは、手の届きにくいところなどに便利です。乾燥している場所、使用感や季節によって、ご自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

スキンケアを習慣にしましょう

皮膚症状がおさまると、保湿剤を塗るのを止めてしまう方がいらっしゃいます。糖尿病では皮膚が乾燥しやすいので、症状が落ち着いても継続して保湿剤を塗ることで乾燥を予防しましょう。保湿剤はお風呂上りや手洗いなど、洗い流したあと速やかに、肌の水分を閉じ込めるように塗るのが効果的です。かゆみが辛い場合や傷になってしまった場合は、遠慮なく主治医に相談して、皮膚の健康を保ちましょう。

保科 早里
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科

監修 [ごあいさつ]
東京女子医科大学内科学講座糖尿病・代謝内科学
教授・基幹分野長
馬場園哲也

編集協力
大屋純子、小林浩子、中神朋子、花井豪、三浦順之助
アイウエオ順

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