インスリン療法とは?
監修:川崎医科大学 内科学 特任教授 加来 浩平先生
A1: 1型糖尿病患者さんのようにインスリン療法が絶対に必要な患者さんは、原則として継続する必要があります。しかし、2型糖尿病患者さんの中には、すい臓がインスリンを出す力がまだある患者さんが
います。そのような患者さんでは、たとえインスリン療法を始めてもコントロールが改善されれば、インスリン療法から飲み薬に切り替えることができる場合が
あります。インスリン療法ですい臓を一時的に休ませてあげることを目的にする場合は、比較的早期にインスリン療法を開始する必要があります。
A2:朝食時と夕食時のみ、あるいは、1日1回だけ注射するタイプのインスリン療法もあります(「インスリン療法」を参照してください)。これらの方法では、外出先でインスリン製剤を投与しなくても治療を行えます。糖尿病の状態によって、この治療方法を選択できるかどうかは異なりますので、かかりつけ医の先生に相談されることをお勧めします。
A3:インスリン注射を開始した直後や別のインスリン製剤に変更した時は、患者さん一人ひとりに合ったインスリン単位を見極めるために、インスリン単位が変わる可能性があります。特に低血糖を起こさないよう、単位は慎重に設定されるため、単位を徐々に増やしていく場合もあります。
また、生活の変化や年齢によっても必要なインスリン単位は変化しますので、インスリンの単位の変化は、その時々の自分にあった量になっていると考えましょう。
インスリン単位を変えても、低血糖や高血糖が続くようであれば、かかりつけ医に速やかに相談してください。
A4:食事・運動療法で
は、原則として低血糖を起こすことはありません。また、飲み薬(経口血糖降下薬)の中でも、お薬の作用として低血糖を起こしにくい種類のお薬もあります。
それに比べ、インスリンは多く投与しすぎてしまうと低血糖になります。そうした意味では、飲み薬よりも低血糖に注意する必要があります。
低血糖の症状を理解し、低血糖がどういった状況でおこりやすいのかを学ぶことで重症低血糖を防ぐことにつながります。
A5:『インスリン療法を始めたことで、コントロールが改善し、油断して食べ過ぎてしまった』『低血糖が怖くて食べてしまった』『血糖が急に下がってお腹がすくようになり食べてしまった』ということが重なり、体重が増えてしまう場合もあります。インスリン療法を続けていても、糖尿病の治療の基本は食事・運動療法です。また、低血糖についても、きちんと対応する方法を理解すれば、インスリン療法を続けながら体重を維持していくことは、決して難しいことではありません。
A6:インスリン療法を開始するときに、1週間程度、インスリン療法についてさまざまなことを教わる入院を行うことも多いのですが、最近では通院をしながらでもインスリン療法を始めることも増えてきました。
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