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糖尿病になるとどうなるの?

監修:永寿総合病院
   糖尿病臨床研究センター センター長 渥美義仁 先生

 
   血管は、心臓から送られる血液を全身に循環させる重要な器官です。糖尿病になると、血管の中は血糖値が高い状態が続きます。血糖値が高い状態は、血管を傷つけたり、血液をドロドロにしたり、さまざまな負担を血管に与えます。糖尿病は、長い時間をかけて血管をボロボロにしていく病気とも言えます。

 特に、細い血管 (毛細血管) は、もともと血管自体がもろく、血糖値が高い状態の影響が早いうちから出てしまいます。毛細血管が集中する網膜、腎臓、手足に現れる障害の「糖尿病網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」は糖尿病の三大合併症 (細小血管障害) と言われ糖尿病で起こる確率が高い合併症です。

   血糖値が高い状態は、毛細血管だけではなく太い血管にも影響を与えます。大血管障害と呼ばれる、脳梗塞・心筋梗塞など直接命にかかわる病気を引き起こすこともあります。

 
   これらの合併症は、糖尿病の可能性がある、あるいは糖尿病と診断されたときから進行し、5~10年くらいで出現すると考えられています。血糖値が高い状態をほうっておくと、ゆくゆくは失明や透析や手足の壊疽 (えそ) を引き起こすとも言えます。反対に今の生活習慣を改善し、正しい治療をすれば合併症を防ぎ、普通の人と変わらない生活が送れます。

<糖尿病の三大合併症>


●糖尿病網膜症

 糖尿病の初期から自覚症状なく進行します。網膜の毛細血管を傷つけ、出血や網膜剥離※1を起こし、最終的には失明にいたります。糖尿病網膜症は、日本人の失明原因の第2位です。
 糖尿病網膜症になっても、早期発見であればすぐに失明してしまうわけではありません。失明してしまう方の多くが、定期的な検査をしていなかったり、違和感を覚えていたのに受診をしていなかったりといった背景があります。
 糖尿病と診断されたら、自覚症状がなくても定期的に眼科での「眼底検査」を受け、継続的に良好な血糖コントロールを維持していくことが大切です。しかし、短期間で行われた急激な血糖コントロールの改善も、糖尿病網膜症を引き起こす可能性があります。血糖コントロールの目標については、かかりつけ医に相談しましょう。

※1:  目はカメラでいうレンズの役割を果たす角膜と水晶体、フィルムの役割を果たす網膜という部分があります。網膜にはたくさんの神経が集まり、角膜と水晶体で捉えた映像を脳に送っています。網膜剥離とは、網膜がはがれ視力の低下や視野が狭くなってしまう病気です。


●糖尿病性腎症

 腎臓には糸球体 (しきゅうたい) という毛細血管の塊 (かたまり) があり、ここで血液をきれい (ろ過) にします。血糖値が高い状態では、この糸球体が傷つきやすくなります。血糖値が高い状態をほうっておくことで、徐々に腎臓が傷つけられ、尿と一緒にたんぱく質も出てきます。しだいに腎臓の働きも弱くなり、最終的には腎不全になり、人工透析が必要な状態にいたってしまいます。現在、人工透析の原因は糖尿病性腎症が最も多く、現在も増え続けています。
 糖尿病性腎症は、比較的進行しても自覚症状の少ない病気です。また、腎症が進行してしまうと、多くの生活制限が出てきます。
 糖尿病性腎症は、一般的にゆっくり時間をかけて進行します。糖尿病性腎症の発症・進行を予防するためには、継続的な血糖コントロールと定期的な尿検査を行っていくことが大切です。


●糖尿病性神経障害

 糖尿病は、手足の感覚などをつかさどる末梢神経 (まっしょうしんけい) にダメージを与えます。
 具体的な症状としては、手足がしびれたり、悪化すると痛みの感覚が鈍くなったりします。例えば、ケガをしても痛みを感じず、気がつくのが遅れ、感染症を引き起こすことがあります。特に足は症状が悪化すると壊疽 (えそ) になりやすく、場合によっては足の切断をよぎなくされます。初期の段階から自覚症状があるので、早めにかかりつけ医への相談をしましょう。

壊疽 壊疽 (えそ) の例

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