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糖尿病とともに生きる-連載ブログ第8回:1型糖尿病が家族に与える影響

ジャスティン・モリス

1型糖尿病とともに生きる私の日々を綴ったこのブログをお読みいただきありがとうございます。

10月、私の両親が、タスマニア島にある私たち夫婦の新居を訪れてくれました。

彼らには、我が家の新しい家族、愛犬 ミスティを紹介することができました。11月には、アメリカのミシガン州から、義理の両親がやって来る予定です。

こうして家族と過ごす時間や、最近出会った1型糖尿病の子どもを持つ親御さんたちとの交流を通じて、糖尿病と診断された人たちにとって、どれほど家族の存在が重要か、いかにその人の人生や可能性に影響を与えるか考えさせられました。

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私が1996年末に1型糖尿病と診断されたとき、私の両親は入院中も、その後何年も続いた通院にも付き添ってくれました。献身的に支えてくれる家族に恵まれて、私はとても幸運でした。両親は、毎晩二度(午前0時と午前3時)も起きて、私の血糖測定をサポートし、必要に応じて適切に対処してくれました。

両親は私が直面している状況を重く受け止めていましたが、私の糖尿病について苦悩したり、気をもんだり、怒ったり、苛立ったりするそぶりを見せたことはありませんでした。

私自身、両親が冷静だったおかげで、糖尿病を必要以上に大きな問題だと考えないですむようになりました。

糖尿病のことで何かが起きたら両親が守ってくれるという心強さもありましたし、何より両親が私を信頼してくれていたので、私は成長するにつれて、友だちの家に泊まったり、自転車通学したり、放課後に友達と一緒に地元の森林を探検したりすることができたのです。

私が糖尿病の診断を受けた1996年に比べて、1型糖尿病に対する考え方や管理方法は徐々に変わってきています。

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持続血糖測定器(CGM)が登場して、心配であれば親が子どもの血糖値を常に把握できるようになりました。CGMは携帯電話のアプリとつながり、血糖値の異常を知らせるアラートを受け取ることもできます。

私はここ1、2年の間、糖尿病患者さんたちとの交流イベントで、CGMのアラートによって毎日夜中に何度も起こされて寝不足になってしまっている親御さんたちにたくさん出会いました。

 

私が以前のブログに書いた「糖尿病に対する不安」は、糖尿病とともに生きる本人のみならず、家族にとっても深刻なものなのです。

最近、オーストラリア クイーンズランド州(私の住むタスマニアよりも遥か北にあります)で暮らす1型糖尿病の14歳の少年のご両親に会いました。彼らの息子はスポーツ奨学金を受け、ブリスベンにある全寮制の学校に通っています。

ご両親はオーストラリア政府が21歳未満の1型糖尿病患者に提供するCGMを利用していました。このCGMのおかげで、3,000kmも離れた息子の状態を、電波を通じて瞬時に知ることが出来ますが、血糖値の異常を知らせるアラームを受信する度に、愛するわが子を心配してパニックになり、息子や学校へ電話をかけていたそうです。もちろん、その都度少年はきちんと低血糖または高血糖に対処していて、問題はなかったようなのですが…

両親を夜中に起こしてしまっているという思いと、両親からうるさくかかってくる電話は14歳の少年にとっては耐えがたく、結局、彼は自分自身と両親の面倒を解消するためCGMの使用をやめてしまいました。

 

その後、両親は息子を信頼し、アラームを受け取れなくなったことに文句は言わず、糖尿病管理を息子に任せることにしました。

以来、非常に高かった彼のHba1cは1桁台にまで下がり、さらには、全国学校スポーツ選手権の3つ大会で表彰台に登る成績をおさめることが出来ました。

糖尿病管理にあたって彼が幸運だったことは、CGMと自分の感覚の両方を持つことが出来たことにあります。親や介護者は、CGMのデータを見ることはできても、彼ら自身は本人の感覚はわかりません。糖尿病患者自身は、血糖の上り下がりによる自らの体に起こる異常を感じ取り、どの程度の緊迫感を持って対処すべきかを判断することができるのです。成功しているアスリートは、心拍データ、力、その他のツール、そして何より自分自身の感覚を活かしてトレーニングを行っています。

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これは糖尿病をうまく管理する上でも同じことが言えます。確かにデータは必要です、しかしより重要なことは、私たちの感覚が効果的にそのデータが示す状況をとらえることができるかということなのです。

現在、オーストラリアで糖尿病とともに生きる人々が利用できるリソースは、間違いなく世界でトップレベルです。前にも述べましたが、国際若年性糖尿病財団(JDRF)や、国の素晴らしい組織があり、ピアサポートグループや糖尿病モニタリングプログラム、定期的な情報交流会を通じて医療を越えたサポートを受けることができます。

しかし、介護者や家族へ向けたこうした機会は不足しているように見受けられます。特に1型糖尿病の子どもを持つ親への機会が必要だと考えます。自分自身は糖尿病でないのに糖尿病がもたらす不安で不自由な思いをしている親御さんたちを、私は大勢知っているからです。

私はまだ子どもをもっていませんが(犬の親ではありますが)、子どもが糖尿病の診断を受けることがどれだけの強烈なインパクトを親に与えるかは分かります。私は親や家族を対象としたネットワークやイベントをサポートしているのですが、そうしたイベントは、患者だけを対象にしたもの以上に患者自信へも強いインパクトを与えると感じています。

私の母が1997年に参加したコミュニティの情報交換会では、10代の1型糖尿病の少女がどうやって日本の高校へ交換留学に行ったかを発表したそうです。

 

1型糖尿病でもできることを知ることは、私の母の1型糖尿病に対する理解を深め、病気に対する基本的な姿勢にもつながったのです。

私は、いつか自分自信が親になることを楽しみにしています。

もし自分の子どもが1型糖尿病を発症しても、子どもが糖尿病を必要以上に大きな問題にしないよう、喜んで手助けしたいと思います。

 

 

 

 

 

ジャスティン モリス

英語版はこちら

 

ジャスティン・モリス氏 略歴:

10歳で1型糖尿病と診断されたジャスティンさんは、人生の夢と目標を見失いかけていましたが、糖尿病対策を目的に自転車競技を始め、プロのサイクリストの道へ進むきっかけにもなりました。ロードレースのプロサイクリストとして5年間を過ごし、競技と糖尿病のコントロールを両立させながら世界の5大陸を転戦しました。その間の競技生活から多くのことを学び、競技の中でも外でも困難に対処していく経験と知恵が身に付いたと語っています。

その後、プロ選手を引退してオーストラリアのマッコーリー大学を2015年に卒業し、心理学と教育学の学位を取得しました。大学在学中には、学業だけでなくスポーツ競技でも優れた成績を収めた学生に贈られる「ブルース・アワード」を授与されました。現在もチームSubaru-marathonMTB.comに所属してマウンテンバイクのマルチデー自転車レースに出場しており、変わらぬ健脚ぶりを発揮しています。クロコダイル・トロフィー、シンプソン・デザート・バイク・チャレンジ、パイオニア・イン・ニュージーランド、モンゴル・バイク・チャレンジの各レースで表彰台入賞を果たしています。

2011年からは、自転車競技経験をもとにした情報発信を開始しました。希望と力を与え、逆境を克服するメッセージを世界中の人々に発信し続けています。

連絡先:
Twitter: @JustinMorrisTT1
Instagram: @justinmorrismdog
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/justin-morris-3a71b4a7/www.mindmatterscoach.com


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