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飲み薬による糖尿病治療

監修:医療法人社団慈生会 野村病院 内科 / 東京慈恵会医科大学 名誉教授 宇都宮 一典先生


糖尿病の飲み薬には、どのような種類があるの?


糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本です。
しかし、食事療法と運動療法で良好な血糖管理が実現できないときは、合併症の発症や進行を抑えるために、薬物療法を開始します。
では、どのタイミングで、どのお薬からはじめればよいのでしょうか?
糖尿病のお薬にはさまざまな種類があり、それぞれ異なった特徴を持っています。ここでは、2型糖尿病のある方の飲み薬について一緒に勉強していきましょう。


●糖尿病の飲み薬には、どのような種類があるの?

血糖値を下げる飲み薬のことを『経口血糖降下薬』と呼びます。
経口血糖降下薬には、糖尿病の状態や原因にあわせさまざまな種類があります。
1種類のお薬で薬物療法行うこともありますが、これらの経口血糖降下薬をいくつか組み合わせて使うこともあります。

〔日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023 文光堂:40-41, 2022より抜粋〕 〔日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023 文光堂:40-41, 2022より抜粋〕


経口血糖降下薬での治療が適している患者さんはどんなひと?


経口血糖降下薬は、インスリン非依存状態にあり、食事療法・運動療法を十分に行っていても血糖管理がうまくいかない患者さんに使われます。

つまり、経口血糖降下薬で治療効果を望むことができるのは、自分のすい臓からインスリンを出す力が残っている、「インスリン非依存状態」にある患者さん(多くは2型糖尿病)です。
 

重度な肝機能障害がみられる患者さん

  •  インスリン注射をしなければ生命が維持できない患者さん
  •  妊娠中または妊娠の可能性がある患者さん
  •  手術前後の患者さん
  •  重症感染症がみられる患者さん
  •  重度な肝機能障害がみられる患者さん
  •  合併症を発症し、厳格なコントロールが必要である患者さん
     

しかし、経口血糖降下薬で治療を行っていても、血糖管理が悪化するときもあります。
糖尿病の治療の目的は、“良好な血糖管理を維持することで、合併症の発症や進展の抑制を目指す”ことです。経口血糖降下薬でコントロールの改善が認められないときには、合併症がでる前にインスリン治療を始めるなど、かかりつけ医に相談してみましょう。

 


経口血糖降下薬の治療で気をつけること


●食事療法・運動療法は、治療の基本

経口血糖降下薬を始めると、血糖管理の改善が認められ、食事療法・運動療法をやめてしまう患者さんがいらっしゃいます。糖尿病の治療の基本は、食事療法・運動療法です。薬物療法を開始しても、この2つは変わりません。また、食事療法・運動療法を継続することで、体重の増加を防ぎ、お薬の量もおさえることができます。


●お薬を飲む時間や量を守っていますか?

飲む時間や量などはお薬の種類によってさまざまです。『食前・食後』『朝・昼・晩・就寝前』など、どのタイミングで飲むものかを必ず確認しましょう。


●二次無効を知っていますか?

二次無効とは、おもにSU薬を服用している患者さんにみられるもので、長く飲み続けているとお薬の効果がうすれてくることです。食事療法・運動療法を十分に行って、ほかの飲み薬を併用しても血糖管理が改善しないときは、かかりつけ医に相談してみましょう。


●経口血糖降下薬には副作用はありますか?

お薬の種類によってさまざまですが、副作用の中で最も多いのが低血糖です。自分で勝手に薬の量を調節したり、飲み忘れたりしないようにしましょう。副作用を防ぐには、かかりつけ医の指示を正しく守ることが大切です。


●他の病気になったときは、経口血糖降下薬はどうすればいいの?

糖尿病のある方が風邪や他の病気にかかったときは、健康な方と比較して血糖値が乱れやすくなります。一時的にお薬の量を変えたり、インスリンに切り替えたり、いつもとは違った治療が必要になるときがあります。かかりつけ医に相談して指示に従ってください。

 

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