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最近、新たに使用可能となったグルコース値測定器の特徴と、補食のポイントについて解説します。
新しいグルコース値測定器とは
最近、リアルタイムで皮下グルコース値や血糖変動の傾向を確認できる測定器が使用可能となりました。フラッシュグルコースモニタリングシステムと、リアルタイムCGM (Continuous Glucose Monitoring) の2種類が現在、保険適用になっています。
フラッシュグルコースモニタリングシステムとは
2017年9月に保険適用となったフラッシュグルコースモニタリングシステムは、1型糖尿病と注射薬(インスリンまたはGLP-1 受容体作動薬)治療中の2型糖尿病患者さんで使用できます。上腕後部にセンサーを装着し、専用のリーダーをかざすと光る(フラッシュ)ようにグルコース値がわかることが特徴です( 図1)。センサーは15分ごとに自動的に測定を行い、グルコース値とともに、血糖値の上昇、下降が矢印で示されます。センサーには8時間分のデータが保存され、8時間毎にリーダーでスキャンすることにより、連続した血糖変動グラフや平均血糖が表示されます。センサーは14日間連続で測定ができます。これまでのCGMでは指先穿刺の血液による血糖値を測定し、補正することが必要でしたが、このシステムではその必要はありません。
リアルタイムCGMとは
2018年12月より保険適用となったリアルタイムCGM は、急性発症または劇症1 型糖尿病患者さんで使用できます。腹部に装着されたセンサーから、専用の機器にデータが送信されるものと、あらかじめ設定したモバイル機器に5分ごとのグルコース測定値が自動送信、表示されるものがあります(図2)。これらの機器でも、グルコース値の上昇、下降の変化、過去数時間のグラフ化した血糖変動も知ることができます。患者さんだけでなく、家族や医療従事者とデータをリアルタイムに共有することができる機種もあります。センサーは約1週間連続装着できます。フラッシュグルコースモニタリングシステムとの違いは、両機器とも高血糖や低血糖時のアラート機能があること、血糖値による定期的な補正が必要なことなどがあります。
補食のポイント
低血糖になってから補食をすると、焦るあまり糖分を摂り過ぎてしまい、かえってその後の高血糖を招くことがあります。これらの機器では血糖の変動傾向がわかるので、低下傾向にある場合は、少量の糖分とたんぱく質・脂質を適度に含む食品を摂って、ゆっくり血糖値を上昇させるようにしましょう。
新しい測定器の注意点
いずれの機器も、皮下糖濃度を測定しており、この数値は血糖値よりも10~15分ほど遅れて動きます。また、血糖値が大きく変化している時は、測定値が不正確になりやすくなります。測定値には誤差があるため、インスリン量の変更はこれらの機器の情報だけでは行わず、指先穿刺の血液による血糖測定値により行うようにしましょう。
大屋 純子
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
監修
東京女子医科大学 糖尿病センター 内科
教授・講座主任
馬場園哲也
編集協力
北野滋彦、中神朋子、三浦順之助、柳澤慶香
アイウエオ順
JP22CD00064