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Blueprint for Change Programme 2021:糖尿病における現在の課題

インスリン発見100周年を記念してノボ ノルディスクが発行した「Blueprint for Change Programme 2021」より、今回は「糖尿病における現在の課題」についてご紹介します。

全世界における糖尿病のある方の増加とその脅威


世界の成人の糖尿病のある方の数は、2000年から10年ほどで約2倍、2020年には、約3倍になりました。現在、全世界で成人の11人に1人が、糖尿病とともに生きていると推定されているのです。このまま増え続けると、2045年には7億人を超える可能性があります1

また、2019年の全世界の医療支出において、約81兆円*以上が糖尿病とその合併症によるもので、これらの費用は増加し続け、2045年までに約90兆円*を超えると予想されています。さらに、2019年の糖尿病関連死の約半数が60歳未満という事実もあります1。つまりこれは、生産年齢人口にあたる全ての人々にとって、糖尿病の影響を受けていくことが避けられない傾向をさし示す、見過ごすことのできない脅威なのです。

* 2021年2月26日時点の為替レートに基づく

 

社会的課題をひき起こす3つの原因


2糖尿病のある方のうち、診断を受けている人はほぼ半分で、また、診断された患者さんの約半分は治療を受けていないといいます。さらに、治療を受けている人の中でも、治療目標を達成しているのは半分とされています。こういった現状は、前述した糖尿病ケアにかかる費用の上昇に加え、主に3つの根本的な原因によって引き起こされています。

一つ目は、健康的な生活習慣を導く環境づくりのための政策と、どの立場にある人も受けることのできる医療システムが実現されていないことです。残念ながら、多くの国々には、糖尿病を予防するための有効な政策がありません2

二つ目は、治療へのアクセスが不十分なことです。糖尿病のある方の8割は低中所得国に住んでいます1。多くの低中所得国では、インスリン製剤を入手できないか、入手可能な価格で購入できないことが多いのです2。この状況は、医療従事者数の少なさや健康保険がないといった事情も重なり、悪化しています2

三つ目は、所得や教育レベルなど健康を左右する社会的決定要因に格差があることです3。皆保険制度や平等に医療を提供するビジョンのある国でも、2型糖尿病のある方の予後と疾病リスクの程度に格差が存在します。良好な糖尿病の予後を達成するには、血糖モニタリングや複数の薬剤の取扱い、生活習慣行動の改善、定期的に医療機関にかかるなど、個人によるさまざまな自己管理行動が必要となりますが4、この格差が、患者さんが積極的に治療に取り組むことを難しくしているのです。

 


「SDGs」における糖尿病への取り組み


2006年の糖尿病に関する国連決議が転機となり、全ての国々において、糖尿病と糖尿病が人々と社会に及ぼす影響を十分に認識する取り組みが始まりました。2011年には、国連は糖尿病を含む非感染性疾患の議題を世界的議題のトップに置くことを推し進めました5。そして、2015年に採択された「持続可能な開発目標 (SDGs) 」には、「2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健および福祉を促進します。」という目標が掲げられました。実現には、国として糖尿病計画の策定や、皆保険制度の確立も欠かせません。こうした政治的な取り組みに多くの国が参加し、さらに官民一体となって、一人ひとりの認識を向上していくことが求められているのです。

 

糖尿病のある方のアンメットニーズ


インスリン発見から100年が経ち、糖尿病の治療は著しい発展を遂げました。しかし今なお、患者さんは糖尿病の管理において日々大きな課題に直面し続けています。

たとえば、日常的なスティグマ (糖尿病であるために向けられる差別や偏見) や継続的なリスクである合併症などが挙げられます。糖尿病のために抱える、雇用や結婚、教育機会への不安は、本人とその家族にとって大きな障害であることに変わりはありません。また、2型糖尿病のある方の心血管疾患リスクは、糖尿病のない人と比べると2~4倍ほど高いといわれています6

糖尿病におけるアンメットニーズの解決には、社会全体で目標を掲げて向きあうとともに、全世界の一人ひとりが正しい知識を身につけていくことが必要なのです。

「Blueprint for Change Programme 2021」全文はこちらからご覧ください。

 

参照資料

1.International Diabetes Federation.IDF Diabetes Atlas, 9 ed. Brussels,Belgium: International Diabetes Federation;2019.https://www.diabetesatlas.org/en/resources/2019-atlas.html

2.World Health Organization. Global report on diabetes. World Health Organization;2016.

3. Whiting D, Unwin N, Roglic G. Diabetes: equity and social determinants. Equity, social determinants and public health programmes. 2010:77–94.

4. Barnard KD, Holt RI. The aims of diabetes care. Textbook of Diabetes. 2017:314–325.

5. United Nations General Assembly. Political declaration of the high-level meeting of the general assembly on the prevention and control of non-communicable diseases. New York: United Nations. 2011.

6. Einarson TR, Acs A, Ludwig C, Panton UH. Prevalence of cardiovascular disease in type 2 diabetes: a systematic literature review of scientific evidence from across the world in 2007-2017. Cardiovasc Diabetol. 2018;17(1):83.

糖尿病治療のイノベーション~Blueprint for Change~

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