口の中の健康<糖尿病と感染症>

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糖尿病になると体の免疫システムが弱くなります。そのため、一般に風邪をひきやすくなったり、膀胱炎や水虫などの感染症にかかりやすいといわれています。今回は口腔内の感染症である歯周病について、くりはら歯科医院 栗原幹直先生に伺います。

糖尿病と歯周病
 糖尿病では、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症はよく知られています。もうひとつ注意すべきことが、口の中の感染症です。糖尿病の患者さんには、虫歯や歯周病が非常に多いといわれています。特に、歯周病と糖尿病については、明らかな因果関係があります。
「歯周病があると、糖尿病が悪化する。歯周病を治療すると糖尿病がよくなる。」これが、今、最も注目されている糖尿病と歯周病の関係です。

歯周病とは
 よく耳にする歯周病とはどのような病気でしょうか?
 健康な歯肉はピンク色ですね。歯肉には、多くの血管があり、血液がたくさん流れています。この血液を通して酸素や栄養が運ばれています。
 高血糖の状態が続くと、血管壁がもろくなります。また、体の免疫力が低下し、口の中にいる細菌が増殖して、歯肉や口腔粘膜、歯に感染します。
 歯周病は、歯を支えている周りの「歯周組織」に細菌が感染して発症する感染症です(図1)。

図1 歯周組織
(社)日本糖尿病協会 月刊  糖尿病ライフ「さかえ」2004年 6月号より引用


 さらに、血管壁の異常と細菌感染が大きく絡まり、進行しやすいといえます。細菌は、歯肉だけでなく、次第に歯周組織に深く侵入していきます。そこで炎症を起こして、歯槽骨(顎の骨の一部で、歯の根を強力に支えている)を破壊します。
 歯周病は、口腔内で微弱な炎症が慢性的に起こっている状態です。すると、炎症性のサイトカインという免疫たんぱく質が出て、インスリンの抵抗性が高まります(インスリンが効きにくくなる)。これは糖尿病の悪化に繋がります(図2)。逆に、歯周病を治せば、血糖コントロールもよくなることがわかってきました。

図2 糖尿病が歯周炎におよぼす影響
吉江弘正、高柴正悟 編著 歯周病と7つの病気 永末書店 P.31 2007より引用