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糖尿病とともに生きる-連載ブログ第13回:「責任をともなう決断」の力

信念を持ち、何かを決断すること。

皆さんの人生において、最も大きな決断は何でしょうか。

今回、ジャスティンさんが語るテーマは、「責任をともなう決断」の力。

彼が下した決断と、その後の結末とは?

何か決断を下さなければいけないときに、大切なポイントについても紹介します。ぜひ、ご覧ください。

 

こんにちは。今回もブログをお読みいただきありがとうございます。

最近は若手サイクリストにアドバイスをする仕事 (Mind Matters Athlete Coaching) や、自転車のメカニックとしての仕事、そして自転車競技者としてのレース出場に忙しくする一方で、妻や愛犬と自宅で過ごす生活も満喫しています。人生のこの瞬間を楽しみ、日々の生活に夢中になれることに感謝しています。

しかし今に至るまでには、人生において幾つかの大きな決断を下さなければならず、下した決定を翻さなければならないこともありました。私生活、糖尿病とともに生きる生活、競技者としての生活の全てにおいて、自分が決めたことに対して責任を持つ必要がありました。

今回は、「責任をともなう決断」(commitment) の価値と重要性を強く感じた私的な経験をお話ししたいと思います。

2013年6月、妻と出会ったときのことです。互いに出会った瞬間に恋に落ち、運命を感じました。この女性こそ私にとってかけがえのない人だと感じました。ですが、互いに住んでいる場所が遠く離れていました。

私はオーストラリアでプロのサイクリストをしており、彼女 (モーガン) は米国シカゴのヘルスケア業界で働いていたのです。

遠く離れていても、連絡を取り続けるよう努力しなければいけないと考え、電話を欠かさず、二人で会う機会もつくるようにしました。頻繁に飛行機のマイルを使い、仕事を休んではモーガンに会いに行ったものです。そして、会うたびに、彼女との絆を深めていくべきだと感じました。

そこで私は、彼女と定期的に会えるよう、2014年にシカゴの彼女の家の近くに引っ越すことにしました。

シカゴで暮らした1年余りの間に、恋人としての幸せな関係を作り上げることができました。

しかし、私のビザにも、米国でのサイクリストとしてのキャリアにも期限がありました。不法移民にならないように、2014年12月31日までに米国を去り、大学での学業を終えるためオーストラリアでの生活に戻らなければなりませんでした。

このとき、二人の関係を続けるための方法はいくつかありましたが、それらにはすべて、多くの責任をともなう決断が必要でした。

2014年11月、米国で最大のオフロードの自転車レース「the Iceman」が、モーガンの故郷である米国ミシガン州トラバースシティで開催されました。これは、道が凍結していることも多く、雪、泥、氷の中を走行しなければならない、非常に困難なレースです。

私はこのレースを、プロサイクリストとしての生活に別れを告げ、さらには、モーガンとの運命の絆を決定づける絶好の機会だと考えました。

背中のポケットに婚約指輪を忍ばせて54kmのレースを完走した私は、ゴールすると最愛の彼女の前で膝をつき、「結婚してくれますか?」と言いました。うれしいことに、彼女は「イエス」と言ってくれたのです。

私はこのとき、生涯にわたる責任をともなう決断 (commitment) をしたわけですが、こうした決断をしたことをうれしく思っています。

一度このような決断をすると、人生における他の決定はいくらか簡単になります。二人はずっと一緒だ、という重要なことを確信できたからです。

私はそれまでの人生で、何かを決める必要があってもいつもぐずぐずと先延ばしにし、重大な決断を下すのを避ける傾向がありました。

こうした優柔不断な態度ではなかなか前に進むことができず、人生を充実させることができません。

そこで、今、私は次の3つのことを大事にしています。

1.    自分を信じ、信念を持つこと

2.    心の底から決断を下すこと

3.    その決断の結果が思いもよらない事態をもたらしても、最後までやり抜くこと

これら3つを実行することで、私は人生のロマンチックな面だけでなく、糖尿病との付き合いでも大きな喜びを見出せるようになりました。

2017年に妻は、ビーガン(完全菜食)ダイエットを実践してみようと決心しました。私も一緒に実践してみようと思ったものの、糖尿病への影響が心配でした。

そこで、自分の意思決定プロセスに沿ってみました。安全で健康な生活を維持できることを医療の専門家に相談し、食事を変えても管理ができると確信しました。

動物製品を一切食べないと決断したことで、糖尿病の管理法をあれこれ調整しなければなりませんでした。これは簡単なことではありませんでしたが、この問題に限らず、そもそも人生で価値ある事柄は、成し遂げるのが難しいものです。

私は2カ月間余り菜食だけで過ごすことに成功しました。今は普通の食事に戻っていますが、食事を変えてもなお糖尿病をきちんと管理できるのだと、確信が持てました

必要な相談をした上で、自分を信じることができたのです。

自分を信じるということは、アスリートとして非常に重要なことです。

これまでの自転車競技人生で達成した、最も記憶に残る重大な事柄は、いずれも確固とした揺るぎない決断なしには果たせませんでした。

2016年、マウンテンバイク用ヘルメットのコマーシャルフィルムを撮影中に、私は事故で骨盤を骨折してしまいました。その後2カ月の間、自転車はもちろん、歩くこともできませんでした。

回復したいと必死の思いでしたが、怪我のおかげで面白そうなバイクレースについて調べる時間ができました。

「The Simpson Desert Bike Challenge」は、オーストラリアで最大の砂漠を横断する600kmのレースで、私が怪我をしてから6カ月後に開催予定でした。

私にとって、大胆で華々しい目標を立てることこそ、身体と心を癒す助けとなるので、レースへの参加を決断し、実現に向けた資金集めを始めました。

おかげで出場が叶い、その後身体が回復したときには、決断を果たすためにハードなトレーニングをすることとなりました。

私は自分を信じ、決定を下し、それをやり遂げたのです。

2016年の「The Simpson Desert Bike Challenge」に参加した私は、6日間のレースで優勝を収めました。このレースに参加して完走した初めての1型糖尿病のある方であり、しかも優勝までしたのです!

読者の方々にも、人生において責任をともなう決断をすることの価値を感じ取っていただければ幸いです。

様子をうかがって態度を決めずにいるのは気持ちのいいものではありません。

そのような姿勢では、本来できるはずのこともやれずに終わってしまいます。

それが人間関係であっても、糖尿病とのつきあいであっても、自分の情熱をかける事柄であっても、責任をともなう決断こそが大事なのです。

ジャスティン モリス氏 略歴:

10歳で1型糖尿病と診断されたジャスティンさんは、人生の夢と目標を見失いかけていましたが、糖尿病対策を目的に自転車競技を始め、プロのサイクリストの道へ進むきっかけにもなりました。ロードレースのプロサイクリストとして5年間を過ごし、競技と糖尿病のコントロールを両立させながら世界の5大陸を転戦しました。その間の競技生活から多くのことを学び、競技の中でも外でも困難に対処していく経験と知恵が身に付いたと語っています。

その後、プロ選手を引退してオーストラリアのマッコーリー大学を2015年に卒業し、心理学と教育学の学位を取得しました。大学在学中には、学業だけでなくスポーツ競技でも優れた成績を収めた学生に贈られる「ブルース・アワード」を授与されました。現在もチームSubaru-marathonMTB.comに所属してマウンテンバイクのマルチデー自転車レースに出場しており、変わらぬ健脚ぶりを発揮しています。クロコダイル・トロフィー、シンプソン・デザート・バイク・チャレンジ、パイオニア・イン・ニュージーランド、モンゴル・バイク・チャレンジの各レースで表彰台入賞を果たしています。

2011年からは、自転車競技経験をもとにした情報発信を開始しました。希望と力を与え、逆境を克服するメッセージを世界中の人々に発信し続けています。

連絡先:

Twitter: @JustinMorrisTT1
Instagram: @justinmorrismdog
LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/justin-morris-3a71b4a7/www.mindmatterscoach.com

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