糖尿病サイト TOP > 糖尿病を深く知る > 治療 > No.25-1 新しい糖尿病治療薬(2010年4月発行)

ノボケアSmile

ノボケアSmile トップ レッツフォーカス ズームアップインスリン マイベストパートナー ノボケアタウン

レッツフォーカス

1/2No.25 新しい糖尿病治療薬(2010年4月発行)

国内で約10年ぶりに、新しいタイプの糖尿病治療薬が承認されました。インスリン分泌に関与する「インクレチン」と呼ばれる、消化管ホルモンの血糖コントロール作用を利用した血糖降下薬です。低血糖や体重増加を起こしにくく、食事や運動療法で十分な効果が得られない2型糖尿病患者さんへの投与が期待されます。新しい糖尿病治療薬について、東京女子医科大学糖尿病センター佐倉宏先生に伺います。

「インクレチン」とは

2型糖尿病患者さんでは、食べた量に対して分泌されるインスリンの量が少なかったり、インスリンの効き目が悪くなったりしている(インスリン抵抗性)ために、血糖値が上がっています。では、インスリンの分泌量はどのように調節されているのでしょうか。

以前から、ブドウ糖を口から摂った方が静脈に直接投与するよりも、インスリンが多く分泌されることがわかっていました。そのため、インスリン分泌の鍵は消化管にあると考えられていました。その後研究が進み、小腸から分泌される消化管ホルモンが、インスリンの分泌を促す作用を持つことがわかりました。それが「インクレチン」です。

インクレチンには、いくつか種類があり、その代表的なものとして、消化管上部のK細胞から分泌される「GIP(ジー・アイ・ピー)」と、下部のL細胞から分泌される「GLP-1(ジー・エル・ピー・ワン)の二つが知られています。消化管に栄養素が取り込まれると、GIPとGLP-1が分泌されます。そしてすい臓のβ細胞の受容体を介してβ細胞を刺激し、インスリンの分泌を促します(図1)。この作用は、食後に血糖値が上昇した時にだけ発揮され、血糖値が低い時にはインスリンの分泌量を増やすことはありません。

図1 インクレチンの作用

図1 インクレチンの作用

GIPとGLP-1、どちらも血糖値を下げる薬になるのでしょうか? 研究の結果、GIPはあまり効果が期待できないことがわかりました。一方GLP-1は投与直後から持続的にインスリンの分泌を増加させることができたため、糖尿病治療薬として研究が進められました。

「インクレチン」の作用を利用した新しい糖尿病治療薬

GLP-1をターゲットにした新しい糖尿病治療薬には、すい臓にあるGLP-1受容体に作用する「GLP-1受容体作動薬」と、GLP-1を分解する酵素であるDPP-4(ディ・ピー・ピー・フォー)の働きを阻害する「DPP-4阻害薬」の2種類があります。

<GLP-1受容体作動薬>

GLP-1受容体作動薬は、すい臓のβ細胞にあるGLP-1受容体に作用し、血糖値が高い場合にインスリンを分泌させる薬です。

GLP-1受容体作動薬は、1日1回、インスリンと同じように皮下に注射します。血糖値を下げる効果は高く、空腹時血糖値やHbA1c が改善することが報告されています。また、従来の経口糖尿病薬では体重が増加することがありましたが、.この薬では変わらないか、もしくは減少の可能性が期待されています。副作用としては、胃から食物の排泄が遅れるため、便秘、悪心、下痢など消化器症状がみられることがあります。しかし、血糖値の上昇に伴いインスリンの分泌を増やす薬なので、単独で使用した場合には、低血糖のリスクが少ないと言われています(表1)。

表1 インクレチン関連薬の特徴

表1 インクレチン関連薬の特徴

この薬が血糖値を下げる作用は、インスリンの分泌を促進させるだけでなく、その他の多くの作用が相乗的に作用していると考えられています。

ひとつには、グルカゴンの分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑えます。グルカゴンはすい臓のα細胞から分泌され、血糖値を上昇させる働きがあり、低血糖時の治療薬としても使用されています。さらにグルカゴン分泌の抑制により、インスリン抵抗性も改善すると言われています。

二つ目は、食物が胃から排出するのを遅らせて、食後の血糖値が上昇するのを防ぎます。

三つ目として、動物実験では中枢神経に作用して食欲を抑える働きがあると言われています。その他、心臓に対する保護作用や、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞を増やしたり、β細胞の機能を回復したりする効果などが動物実験では認められており、ヒトに対するさらなる研究に期待が高まるところです(図2)。

図2 GLP-1の多彩な作用

図2 GLP-1の多彩な作用

<DPP-4阻害薬>

DPP-4阻害薬はGLP-1を分解するDPP-4という酵素の働きを阻害することで、GLP-1の量を保ち、インスリン分泌を増加させる薬です。DPP-4阻害薬は、1日1-2回の内服薬です。血糖値を下げる効果により、空腹時血糖値やHbA1cを改善しますが、体重の減少は認められていません。GLP-1受容体作動薬と同様に、低血糖のリスクは少ないと言われています(表1)。

次へ

ページ上部へ戻るページ上部へ戻る

「レッツフォーカス」目次へ

糖尿病サイトTOPへ

管理番号:2515-1-0205-01

新しい糖尿病治療薬-1(インクレチン関連薬) 【糖尿病サイト】