糖尿病について徹底解説。血糖値・HbA1cから
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川崎さん 職場の健診で要精密検査と言われ、病院 に行ったら糖尿病予備軍と言われました。でも、あ の頃は仕事が一番忙しい時期だったので、放置して いました。夏場、とても喉が渇いて、会議中もペッ トボトルの飲料なしでは耐えられなくなり、これは おかしいと思い受診したら、「1 型糖尿病」だと診断 されました。

永瀬先生 50 歳を過ぎてから、1 型糖尿病になったのでしたね。

川崎さん そうです。糖尿病という病気は聞いたことがありまし たけど、「1 型」っていったい何だろうと思いました。 そして「1 型」と「2 型」では、原因も治療法も違うこ とがわかりました。糖尿病というと、生活習慣が原因 の「2 型」を多くの人が連想するようですが、私の場合は「1 型」なので、まず、職 場の仲間に「1 型糖尿病」を理解してもらおうと努力して、説明しました。

永瀬先生 どうやって説明したのですか?

川崎さん 病院から頂いた「1 型糖尿病」のパンフレットを見せながら説明しました。インスリ ンを使って治療しなくてはならないことや、万一、低血糖を起こした場合には助けて もらわなくてはならないので、そのこともお願いしました。

永瀬先生 なかなかよい方法ですね。

川崎さん ええ、実は出張先で低血糖を起こして病院に運ばれたことがあります。私の部下が 救急隊員さんに「1 型糖尿病の患者さんです」と説明をしてくれたので、大事に至らず、本当に助かりました。
仕事をしている間は、近医で診てもらっていましたが、だんだん血糖コントロールが うまくいかなくなり、退職を機に、再度、大学病院で診て頂くことになりました。そ こで永瀬先生と出会いました。

永瀬先生 そうでしたね。入院して頂き、まず、食事療法を見直しました。川崎さんの場合、 朝起きた直後の血糖値は100mg/dL 程度ですが、朝食前には250mg/dL と血糖値が跳ね上がる、いわゆる「暁現象※」を起こしていることがわかりました。

川崎さん 朝の血糖値が高いのは、前の晩の食事やお酒の影響だと思っていました。昼になれ \ば血糖値は下がるので、これが私の体の特徴で仕方がないのかなとも考えました。

永瀬先生 作用持続時間が長い新しい基礎インスリン製剤が登場したところだったので、そのお薬に切り替えたら、HbA1c が6.9%まで改善しましたね。

川崎さん 薬を変えただけで劇的に改善したので、びっくりするやら、嬉しいやらでした(笑)。 多いときで1 日に6 回使っていたインスリンも4 回になりました。 糖尿病に対して真剣に取り組みたいと思うので、食べ過ぎたと思ったら運動をしま す。今は自転車に夢中で、1 日5から10キロ走ります。もちろん、低血糖に備えて、ブドウ糖の携帯は忘れていません。

永瀬先生 川崎さんはいつもひょうひょうとされていますが、少しでもよい血糖コントロールを目指したいという気持ちが伝わってきますね。今は良好な血糖コントロールができて いますが、医学も薬も進歩していますので、次々によい薬も登場すると思います。 川崎さんに合うものがあれば、どんどん導入して、進歩の恩恵を受けてもらいたい と思います。

川崎さん 入院したおかげで先生のご指導を受けることができて本当によかったと思っています。あのHbA1c が6%台 になった時の喜びは忘れません。講演会などに出かけると、1型の患者さんはよく勉強しているなあと感心し ます。1 型患者の先輩と出合うと、色々な工夫や知恵 を教えて頂けるので、本当に感謝しています。

永瀬先生 合併症は今のところありません。退職してご自分の時間がたくさん取れるようになり、今が一番楽しい時で しょう。いろいろな方面で、これからも益々活躍してほ しいと思っています。一生懸命な患者さんには、我々も心を動かされます。楽しいセカンドライフを益々応 援しようと思います。

※ 暁現象:主に1 型糖尿病で見られる現象で、明け方4 ~ 6 時頃に、血糖値が10 ~ 20mg/dL 程度上昇する。眠っている間に分泌される成長ホルモンは、インスリンの効き目を低下させ血糖値を上げるが、その作用が数時間遅延することで、早朝に血糖値が高くなってしまう現象。

永瀬晃正先生
東京医科大学茨城医療センター 内科(内分泌内科)准教授
日本糖尿病学会専門医、研修指導医  治療に一生懸命取り組んでいる糖尿病患者さんはたくさんいらっしゃる。自分から進んで、色々頑張っている姿を見ると、どんどんサポートしたくなる。そんなガッツあふれる先生は、今日も人懐こい笑顔で患者さんを出迎えてくれる。

 

川崎泰治さん
50代で1型糖尿病と診断され、以後インスリン製剤で治療中。2型に比べ1型糖尿病の理解や認知度は、まだまだと感じており、多くの方に理解を深めて欲しいと努力と工夫の真っ只中。朗らかで人あたりのよい人柄と、ユーモアあふれる話しは、1 型糖尿病の正しい理解と認知を広げることに繋がるはず。

監修 内潟 安子 [ 創刊によせて ]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
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