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ハーバート ジョージ ウェルズ (1866~1946)

NO.13

ウェルズはケント州ブロムリー(現在のブロムリー・ロンドン特別区)の下層階級の商人の家に生まれました。貧しかったため、十分な教育も受けられず、父の死後は反物商や薬局などに働きに出ますが、どれも長続きしませんでした。その後、奨学金でサウス・ケンジントンの科学師範学校(現インペリアル・カレッジ)に入学しました。そこでトマス・ヘンリー・ハクスリーの下、生物学などを学び、特に進化論はウェルズに大きな影響を与えました。進化論と当時の最新科学を学んだことが、「タイム・マシン」、「モロー博士の島」、「透明人間」、「宇宙戦争」などのSF小説を生み出すことに繋がりました。

作家活動だけでなく、社会活動にも熱心だったウェルズは、第一次世界大戦中に「戦争を根絶する戦争」という論文で、大戦後に戦争と主権国家の根絶を考え、国際連盟を樹立すべく尽力しました。

ウェルズは生涯を通して気管支炎や神経炎など、様々な病気を患いましたが、1930年代初頭に60歳代で糖尿病と診断されます。そして1934年、ウェルズは糖尿病協会の設立をタイムズ紙上で市民に呼びかけます。「糖尿病協会とは、豊かな人も貧しい人も隔たりなく、全ての糖尿病のある方の相互支援を助け、糖尿病の研究や広報活動を支援する…… 」そしてその結果、英国では糖尿病協会が設立されました。

19世紀後半に人目を驚かす斬新なSF小説を発表したウェルズは、1946年8月、ロンドンの邸宅で肝臓がんのために、静かに息を引き取りました。その遺灰は彼の子どもたちの手で大海原にまかれました。

 

Rights Managed

「宇宙戦争」に登場する火星人の戦闘機械のオブジェ (英国ウォキング市)

監修 内潟 安子 [ 創刊によせて ]
東京女子医科大学
東医療センター 病院長

編集協力
岩﨑 直子、尾形 真規子、北野 滋彦、中神 朋子、馬場園 哲也、廣瀬 晶、福嶋 はるみ、三浦 順之助、柳澤 慶香
(東京女子医科大学糖尿病センター)
アイウエオ順

 

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